医師にとってキャリアプランを意識して考えることはとても重要です。
しかし、日々の業務に忙殺されていると、じっくりと今後のプランやキャリア形成を考えるゆとりがないという方もいるのではないでしょうか。

「年代別のキャリアプランとは?」
「キャリアプランを考える上でのポイントは?」
「女性医師のキャリアプランは?」

この記事では、医師のキャリアプランについて、考え方のポイントや年齢別の傾向を、プロの転職エージェントが解説します。
医師にとっての出世コースや、収入の高い診療科はどこなのかといった豆知識もご紹介しますので参考にしてください。


年代別の医師のキャリアプラン

医師のキャリアプランは、年代を追って変わっていけるように、長い目で計画する必要があります。
その理由としては、医師は一人前と言われるまでの期間が、他の職業に比べて長いという点が挙げられるでしょう。
このため、研修が終わり現場で活躍し始める20代後半からキャリア形成のための土台作りが始まると考えておくのが一般的です。

20代

20代後半の研修が終わった時点で、将来の目標が定まっているのであれば、その道に向けて適切な就職先を探し、経験を積んでいくことになります。
先々のことまで考えきれていない場合は、この時期にさまざまな経験を積むことで、将来性のある道を考える期間とするのも有効的です。

30代

30代は専門医資格を取得したり、目指す診療科の専門性を高めることに注力すべき時期だと言えます。
この期間には結婚したり、子どもができたりといったライフステージに変化が訪れる方も多いため、働き方も含めてキャリア形成の道筋を考えていくことが重要です。

40代

そして、40代では、ワークライフバランスや収入面など、公私の両面で今後の働き方を決める必要が出てきます。
開業を目指す医師の場合は、この時期には動き出しておく必要があります。
これ以上年齢を重ねてしまうと、開業資金の融資などで不利になることもあるからです。

医師の年代別のキャリアプランについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

キャリアアップを考える年代は?

医師がキャリアアップをする代表的な方法が、転職と開業です。
では、転職や開業にいわゆる「適齢期」はあるのでしょうか。
転職と開業のそれぞれで解説します。

転職は年代問わず可能

ご承知の方も多いと思いますが、医師の転職は珍しいことではありません。
他の業種に比べても、転職しやすい職業であるとも言えます。
それは、キャリアアップのためや、研修のために転職を伴うことが多く、違和感がないということが背景にあるからです。
働き方を見直したいという方や、今後のキャリアプランのために環境を整えたいという方は、早めの転職が鍵となってきます。
しかし、医師が転職をするとなると、多忙な日常業務の中で情報収集や面接対策をしなくてはならず、ハードであることは確かです。
そこで頼りになるのが転職エージェントの存在です。
キャリアプランごとまるっと相談することもできますし、現時点での自分の市場価値を知ることもできます。
本業に支障を出さずに転職活動できることからも、転職エージェントの利用がおすすめです。

開業は40代が最多

キャリアのゴールとして開業を目指す医師は、必要な資格を取得し十分に経験を積んだ40代で開業するというパターンが多くなっています。
そして、この40代での開業というのは、ボーダーラインという考え方もあります。
開業には多大な準備資金が必要となり、ほとんどの医師が金融機関で融資を受けての開業となるためです。
融資を受けるためには金融機関の審査が必要ですから、この審査に通るためには、あまり高齢だと難しくなってしまいます。
既存クリニックの継承や、十分な自己資金がある場合はこの限りではありませんが、こうしたケースは少ないと言ったほうがいいでしょう。

キャリアプランで何を重視する? 3つのポイント

キャリアプランを考える際に重視したいポイントは3つあります。

  • やりがいをもって働けるか
  • 私生活やライフイベントとのかかわり
  • どの程度の収入を得たいか

それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。

やりがいをもって働けるか

今の職場がやりがいを持って働けるかどうかはとても重要なポイントです。
また、思い描くキャリアプランを実現するために必要な環境が整っているかや、人間関係が悪いなど、働く上でネックになることがないかどうかも見極めて職場を選ばなくてはなりません。
現在の職場で思ったようにキャリア形成ができないと感じた場合は、より良い環境を求めて転職することも視野に入れておいたほうがいいでしょう。

また、今選択している診療科が自分に合わないと感じて転科を決断するという方もいるかもしれません。
こうした場合も転職を伴うケースが多くなりますが、新たに選んだ分野に将来性があるかどうかも考えながら慎重に転職先を選ぶことをおすすめします。

私生活やライフイベントはどうか

医師が研修期間を終えて臨床現場に立つ頃合いは、大体30代という方が多いでしょう。
その年代では、結婚したり、女性医師なら出産したりといった、仕事とは別にライフイベントの局面も変わってくる年頃です。
仕事とプライベートとの両立をどのようにバランスを取っていくかという、ワークライフバランスを無視したキャリアプランでは無理が出てきてしまいます。

さらに、技術を磨くために医局に所属していることで、転勤が発生することもあります。
そうした転機にも対応できるかどうかも考慮して職場選びをすることが重要です。
また、女性医師であれば、出産で一度は臨床の現場を離れることになります。ブランクを挟んでどのようにキャリアを継続させていくのかという道筋も検討しなくてはなりません。

どの程度の収入を得たいか

キャリアプランを考える際に、収入面も当然無視できない要素です。
最終的に開業を目指す医師であれば、開業資金を貯めるためにもなるべく収入の良い職場を選ぶべきでしょう。
また、常勤で一つの病院にコツコツと勤め上げることで、退職金額をアップさせて老後に備えるという考え方もあります。
プライベートも大切にしたいという医師であれば、非常勤やスポット勤務で生計を立て、貯蓄を上手に作って運用するというやり方も一つの選択肢です。
生涯現役が難しい診療科にいる場合は、収入をキープしながらセカンドキャリアを目指せるプランニングをすることもおすすめです。

医師のキャリアに関する疑問

医師にとってキャリアプランをしっかり持つことは重要ですが、キャリアのゴールはどのように設定すれば良いのでしょうか。
キャリアプランのゴールは、最終的に医師としてエリートになりたいのか、好きな分野をコツコツと続けていきたいのか、自分が望む姿によっても変わってきます。
ここからは、こうした医師のキャリアに関する疑問点について解説します。

医師の一般的な出世コースは?

医師として出世コースに乗りたいという目標を持つ方もいるかと思います。
医師でいう「出世コース」とは、一般的には大きな病院で要職についたり、大学病院で教授になることなどを指します。
特に大学病院は上に上り詰めるまでの階層も多く、医員としてスタートしてから、講師や助教授と段階を踏んでステップアップしていくことになるのです。
こうした大きな病院や組織での出世は、基本的には経験年数が多くなるほど有利となる年功序列方式となります。
しかし、大学病院で教授や病院長といった要職まで上り詰めることができるのは、ほんの一握りの医師だけであるということは忘れないでください。

高収入を得られるのはどのような医者?

医師の年収は、診療科によっても左右されますが、どの診療科が高収入の傾向があるのでしょうか。
診療科別の平均年収をランキング形式でまとめると、以下のようになりました。

順位診療科平均年収
1位脳神経外科1,480.3万円
2位産科・婦人科1,466.3万円
3位外科1,374.2万円
4位麻酔科1,335.2万円
5位整形外科1,289.9万円
6位呼吸器科・消化器科・循環器科1,267.2万円
7位内科1,247.4万円
8位精神科1,230.2万円
9位小児科1,220.5万円
10位救急科1,215.3万円
11位その他1,171.5万円
12位放射線科1,103.3万円
13位眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1,078.7万円

*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参考に作成

脳神経外科や産科など、手術などの手技を極める必要があり、時間を問わない対応も必要となる診療科が、平均年収の上位にきています。
こうした診療科は一人前と認められるまでの修行の道のりも長く、また臨床現場の労働環境もハードな傾向があります。
性格や適性があっていれば、やりがいを十分に感じられる目標となるでしょう。

女性医師のキャリアプランは?

女性医師がキャリアプランを考える場合、出産する予定があるかどうかで大きく考え方が変わってくるでしょう。
育児や家事を夫婦で上手に分担しても、出産だけは替わることができないので、どうしてもブランクが発生してしまいます。
ワークライフバランスを保つことに重きを置く医師には、長時間労働が発生しづらい小児科や皮膚科、眼科などの診療科を選ぶ傾向が見られます。

女性医師のキャリア形成におすすめの診療科については、こちらの記事も参考にしてください。

まとめ(医師のキャリアについて)

医師にとってキャリアプランをしっかり描くことはとても大切なことです。
キャリアプランを考えるにあたっては、自分の目指す医師像を実現するための道筋を考える必要があります。
そしてそれと同時に、ワークライフバランスや収入面でも無理なく進められるかをしっかりと見極めないとなりません。
医師は高収入とよく言われますが、勤務先の規模や診療科によってその年収の幅は変わってきます。
目指す道が高収入でない診療科の場合、どうやって収入を上げていくかなども検討しておかないと、先々困ってしまうかもしれないのです。

医師はキャリア形成のためや、技術を磨くためなどで転職することが珍しくない職業です。
思い描いたキャリアプランを実現するために、より良い環境や待遇の良い職場を探して、なるべく早く「理想の職場」に落ち着きたいと考える方も少なくないようです。
医師の転職は情報収集の面で調べるべきことが多く、忙しい日常業務の合間を縫って自力ですべて行うのが難しいと言われています。
転職を考えるなら、プロである医師転職の転職エージェント「メッドアイ」を上手に利用するのがおすすめです。
案件数の多さだけでなく、医療機関の内部情報にも詳しいため、キャリアアップのために必要な条件が揃った転職先を探すのにきっと役立つでしょう。