医師が勤務先でハラスメントの問題に巻き込まれるケースも少なくありません。
さまざまなハラスメントが存在しますが、職場や家庭で起こるものの一つが「モラハラ(モラルハラスメント)」です。
また「ドクハラ(ドクターハラスメント)」は、医師から患者へのハラスメント行為です。

  • 医者のモラハラにはどんなケースがある?
  • どんな嫌がらせがモラハラにあたるのか?
  • 医師のドクハラとはどんな行動?

このように思っている方に向けて、プロの転職エージェントが医師のモラハラやドクハラについて解説します。


【基礎知識】モラハラ・ドクハラの定義

上司や部下、同僚などからモラハラ(モラルハラスメント)を受けたことがあるという医師は意外に多くいます。
そもそもモラハラとはどのようなものなのでしょうか。

また医師に関わるハラスメントには「ドクターハラスメント(ドクハラ)」と呼ばれるものもあります
ここではこれらのハラスメントについて詳しく解説します。

モラハラ(モラルハラスメント)とは

「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」

厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」では、モラハラはこのように定義されています。

つまり倫理や道徳(モラル)に反した嫌がらせ(ハラスメント)がモラハラです。

パワーハラスメント(パワハラ)と混同されやすいモラハラですが、優位な立場を利用したハラスメント行為がパワハラであるのに対し、モラハラは立場の上下は関係ありません。
そのためモラハラは部下や後輩、同僚などから受けるケースも含まれるのです。

引用:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」

ドクハラ(ドクターハラスメント)とは

医師から患者への嫌がらせ、あるいは無神経な言動が「ドクハラ」です。

よくあるドクハラ行為の例としては「病気になったのはあなたの行いが悪いせい」などといった発言が挙げられます。
その他、医師からの言動によって患者が不快な思いをしたり不安が大きくなってしまったりした場合は、ドクハラと捉えられる可能性があるでしょう。

医師側にその自覚がなかったとしても、医療の必要性を超え患者に不快感を与える発言をしたと判断された場合は、ドクハラとなる可能性があります。

医師のモラハラ・職場と家庭のケース

医師が日常的に遭遇する可能性があるのは、職場や家庭でのモラハラでしょう。
ここでは職場と家庭、それぞれで起こるモラハラのケースをご紹介します。

  • 病院内でのモラハラ①上司から部下
  • 病院内でのモラハラ②同僚から同僚
  • 病院内でのモラハラ③部下から上司
  • 家庭でのモラハラ

病院内でのモラハラ①上司から部下

上司から部下へのハラスメントは、立場が上の者から下のものへ行われる行為でありパワハラにも該当します。
人格を侵害するような暴言や悪口など、精神的なダメージを与える行為であればモラハラであると言えるでしょう。

本人やその家族の悪口を聞こえるように話したり良くない噂を流したりするなどの他、無視やため息などもモラハラに当たります。

病院内でのモラハラ②同僚から同僚

同僚に対して「俺の足を引っ張るな」などといった発言のような、上から目線の言動はモラハラであるといって間違いないでしょう。
無視や悪口はもちろん、自分だけが優れているという印象を与えるような言動の他、根拠のない噂話や重要な文書を回さないなど相手を貶めるような行為もモラハラに当たります。

病院内でのモラハラ③部下から上司

部下から上司へのモラハラも存在し、ハラスメントの内容によっては「逆パワハラ」とも呼ばれます。

このパターンでみられるのは上司から部下、同僚から同僚へのモラハラ同様に悪口などの他、指示の無視などが挙げられます。
また「そのような指導はパワハラではないか。謝らなければ裁判を起こす」などといった注意や指導への大げさな反応もモラハラとされる言動の一つです。

家庭でのモラハラ

医師として、経営者として成功しているやり手の開業医が家庭でのモラハラ、特に妻に対するモラハラの加害者になるケースが多くなっています。

妻に対し「誰のおかげで生活できているのか」「お前はバカなのか」のような発言をしたり、「誰が稼いだ金だと思っている」という発言と共に最低限の生活費しか渡さなかったりする行為はモラハラです。
また、子どもに対し「ママは頭が悪い」などと吹き込むといった発言もモラハラに当たります。

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医師のドクハラ・3つのタイプ

被害者となるケースも多いモラハラですが、医師として仕事をする上で加害者となりかねないのがドクハラです。悪気なく発した言葉でも患者が不快だと感じる場合も多いため、十分注意しなければいけません。
ドクハラの事例を3つのタイプ別にご紹介します。

  • 絶望させるタイプ
  • 恐怖を与えるタイプ
  • セクハラタイプ

1.絶望させるタイプ

「いくら治療しても治ることはない」「治す気がないならもう来るな」などの発言がこのタイプです。
このように患者を追い込み絶望を感じさせるような発言は、医師として失格であると言えるでしょう。

2.恐怖を与えるタイプ

「あと数ヶ月の命だ」「手術しないといつ死んでもおかしくない」といった発言もドクハラです。
たとえ事実であったとしても、命に関わる告知は相手の心情に配慮し慎重に行うべきでしょう。
このような発言は患者の恐怖感や不安感を煽るドクハラ行為です。

また小児の診療に関わるドクハラも存在します。
子どもだけではなくその保護者に対し恐怖を感じさせるような「この治療をしないと死ぬよ」「母親のせいで子どもが病気になった」などの発言がドクハラとなる可能性があるでしょう。

3.セクハラタイプ

診察や検査の際に性的な言動で相手に不快感を与える行為は、一般に男性医師から女性患者に対して行われます。
必要のない脱衣を求められたり患部とは異なる部位を触られたり、胸の大きさに関する発言をしたりするなど直接診察に関係ない性的言動を行うのがこのタイプです。

職場でのモラハラが解決できない時は

勤務先でモラハラの被害にあってしまったら、職場内のハラスメント窓口やカウンセラーなどの専門職、信頼できる上司などに相談しましょう。
職場内で相談することに不安がある場合などは、外部の機関を利用することもおすすめです。

その際には、可能な限りモラハラ被害の証拠を集めておくことが重要です。
モラハラの対象となる誹謗中傷や暴言の録音、メールの文面やSNSのスクリーンショットなどが証拠となります。

しかし、モラハラに対処しようと行動を起こしても解決するのが難しい場合は転職を視野に入れることも考えてみましょう。
転職先でのモラハラ被害を避けるためには、転職エージェント「メッドアイ」に相談するなどして職場環境を十分把握した上での転職がおすすめです。


まとめ(医師のモラハラ・ドクハラについて)

モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度などによって相手に精神的なダメージを与える行為です。
立場的に上の地位にあるものからのハラスメントがパワハラであるのに対し、モラハラは同僚や部下などからのハラスメントも含まれます。

また医師が関わるハラスメントには、ドクハラ(ドクターハラスメント)と呼ばれる行為があります。
ドクハラとは患者が絶望や恐怖、不安を感じるような医師の言動のことです。

ドクハラにおいて医師は加害者とならないための配慮が必要ですが、モラハラでは被害者となるケースも多くなっています。
モラハラ被害を受けた場合は職場の相談窓口や信頼のおける上司、もしくは外部機関の窓口に相談するなどして解決を図りましょう。

解決が難しい場合は思い切って退職し、心機一転新たな職場で再起を図ることも考えてみてください。
転職活動が時間的に厳しかったり転職先に悩んだりしたら、転職エージェントの活用もおすすめです。
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