「医学博士の学位を持っていると年収は増える？」
「医学博士の学位は転職やキャリアップに有利？」
「医学博士の学位があるとどんな仕事に就ける？」
この記事では、医学博士の学位が年収やキャリアにどのように影響するかを整理し、取得のメリットや活かし方を解説します。
医学博士の学位は年収に直結しない
結論から言うと、医学博士を取得しただけでは年収は大きく変わりません。
医学博士は学位であり、医師免許のような資格ではないため、給与や待遇に直接反映されることはほとんどありません。
例えば、求人情報でも「医学博士の有無」で年収が変わるケースはほとんど見られません。
そのため、医学博士は「取得しても収入にはすぐ繋がらないが、専門性やキャリア形成には役立つ」と言えます。
取得率は世代によって異なり、株式会社エムスリーの調査によると、50歳以上の医師では6割が取得済みですが、35歳以下では1割程度にとどまっています。 あわせて読みたい
医学博士取得のメリット
医学博士の取得は、年収に直接的な影響は少ないものの、医師としての専門性やキャリア形成において大きな価値があります。
ここでは、より具体的に医学博士の取得のメリットを整理します。
専門性の向上
大学院で研究テーマを追求することで、特定分野の知識や研究スキルを深めることができます。
- 研究活動を通じて、基礎医学や臨床研究の知識が体系的に身につく
- 論文執筆や学会発表を通じて、学術的な評価を受ける経験が得られる
- 将来的に大学病院での研究プロジェクトや教育活動に参加する際の専門性が高まる
医学博士は、臨床能力や判断力を直接向上させるものではありませんが、研究や教育分野での活動の幅を広げる基盤となります。
研究能力・論理思考力の向上
学位取得の過程では、研究手法やデータ解析、論文作成などの経験を通じて、科学的思考力や問題解決力が養われます。
- 臨床研究や治験への参加に必要な基本的知識を習得できる
- 医療現場での課題を客観的に分析し、改善策を検討する力が身につく
- 学会発表や論文執筆を通して、研究成果を整理し表現する力が得られる
これにより、臨床医としてだけでなく、研究や教育の場でも活躍する基礎力が構築されます。
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キャリアの選択肢拡大
医学博士を取得していると、教育・研究職や医療系企業など臨床以外のキャリアにも挑戦しやすくなります。
- 大学教員（教授・准教授・助教）としての応募資格・評価につながる
- 大学附属病院や研究機関での研究職への転向が可能
- 製薬会社の研究開発や医療コンサルタントなど、学位を活かせる民間領域での活動も選択肢に入る
臨床医として働き続ける場合でも、博士号は将来的なセカンドキャリアの可能性を広げる役割を果たします。 あわせて読みたい
学術的ネットワークの構築
大学院で研究活動を行うことで、国内外の研究者や専門医との接点を持つ機会が増えます。
- 学会や研究会での交流を通して最新の知見や技術を学べる
- 共同研究や臨床試験に参加する機会が増える
- 将来的に共同論文執筆や研究資金獲得の可能性が広がる
こうしたネットワークは、研究や教育活動における重要な財産となります。
医学博士にできる業務
医学博士を取得することで、医師としての視野を広げたり、選択肢を増やすことができるようになってきます。
医学博士を取った医師がどのような業務に就くことができるのか、臨床現場以外のものの一例を以下にまとめました。
| 職種・業務 | 仕事の内容 |
|---|---|
| 研究・開発業務 | 治療法や診断法、病理などの研究開発に携わる |
| 臨床研究業務 | 治験や臨床試験への参加や指導 |
| 教育業務 | 大学や研究機関などでの講義 |
| 論文執筆 | 研究成果の発表 |
| 医療政策や公衆衛生に関する業務 | 公務員として政府や国際機関などで働く |
これらの業務の中には、医師免許だけでも遂行できるものもあります。
しかし、医学博士という学位があることでより広い見識で取り組むことが可能になってくるのです。
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医学博士の職種別・勤務先別に見る年収事情
医学博士を取得しても、年収が自動的に増えるわけではありません。ただし、博士号を活かした働き方次第で、収入アップにつなげることは可能です。
以下では、医学博士が携わる仕事の種類と、一般的な年収の目安を紹介します。
医師
医学博士が臨床医として働く場合、その収入は一般の医師と大きく変わりません。医師の年収は、経験年数や診療科、勤務先の規模や種別によって差があります。
医師全体の平均年収は厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、1,338万円です。
また、勤務先別に平均年収をまとめると以下の通りとなりました。
| 勤務先種別 | 平均年収 |
|---|---|
| 大学病院（学校法人） | 739.5万円 |
| 民間病院（医療法人） | 1,443.8万円 |
| クリニック（個人） | 1,414万円 |
参照：労働政策研究・研修機構「勤務医の労働実態と意識に関する調査」 あわせて読みたい
医学研究者
医学博士は、大学や研究機関で研究者として働く際に評価されます。 あわせて読みたい
厚生労働省がまとめている「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、研究者全体の平均年収はおよそ750.4万円でした。
ポスドク（博士研究員）として非正規雇用で働く場合は、求人情報を見る限り300〜400万円程度のケースが多く見られます。
教員
大学教員として働く場合も、勤務先や職位により年収は異なります。医学博士を活かすと、教授や准教授、助教として大学で教育・研究に従事することが一般的です。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 大学教授 | 1,093.3万円 |
| 大学准教授 | 880.6万円 |
| 助教・講師 | 711.6万円 |
参照：厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 あわせて読みたい
医療コンサルタント、特許、起業など
医学博士の肩書きは、医療業界以外でも役に立つケースがあります。 あわせて読みたい
それが、医療系サービスを提供する民間企業や、医療メディアの監修、コンサルタントなどの働き方です。
こちらは所属する企業によって年収は様々となりますが、中には医師に近いほどの収入が得られるケースもあります。
製薬会社や保険会社
製薬会社に勤務して新薬の開発に貢献するメディカルドクターや、保険査定に関わる業務を行う保険会社の社医といった働き方もあります。 あわせて読みたい
年収は比較的高く、特に外資系の製薬会社の場合はかなり高額になることも珍しくありません。
求人サイトの情報を複数チェックして平均を見ると、製薬会社で1,300万円程度、保険会社では1,000万円程度のものがよく見られます。
公務員
医療技官や矯正医官といった公務員として働く場合、年収は役職によって変わってきます。
国家公務員の医療職の年収は大体573〜1,344万円程度で、研究職の年収は898万円程度でした。（人事院「国家公務員給与実態調査」より試算）
医学博士が年収をさらに上げる３つの方法
医学博士への道のりは、大学院での研究や論文作成など、長い時間がかかります。
また、当然ながら大学院の学費も必要となりますし、学会出席や出張といった費用もかかってきます。
医学博士の肩書きが年収に直結しないとはいっても、取得した学位を活かした働き方をすることで、年収アップにつなげることは可能です。
大学院で医学博士を目指している期間や、学位取得後に年収を上げていくための働き方をご紹介します。
転職
一つ目は転職です。
臨床医として働いていても、転職で待遇アップを狙うことは十分可能です。
また、医学博士の肩書きが必要とされる他職種を探したり、待遇条件が良い教授や准教授ポストを探すことができれば、これも年収アップにつながります。
特に臨床医の方の場合は、それぞれが希望するキャリアプランもあるかと思います。
医師専門の転職エージェントを活用し、希望する年収やキャリアプランを相談しながら転職活動することがおすすめです。
開業
二つ目は開業です。 あわせて読みたい
診療科目や開業する立地にもよりますが、開業した医師が「医学博士」の学位を持っていると、それが権威になって、集患の役に立つこともあります。
特に高齢者向けのクリニックを開業する場合は、患者の安心感を得られることにつながる傾向があります。
肩書きとしてだけでなく、医学博士になるために積んできた研究を十二分に役立てられるため、より専門性の高いクリニックを立ち上げることができます。
アルバイト
医学博士として充実した働き方ができているけれど、年収的にちょっと物足りないと感じる場合は、アルバイトをするのも一つの方法です。 あわせて読みたい
医師のアルバイトといえば、スポット勤務や当直などが定番コースと言えます。
しかし、医学博士の学位を活かせば、医療系メディアの記事執筆や記事監修といったアルバイトも可能になってきます。
本業の合間に労力をあまりかけずに働けるアルバイトが選択肢に入ってくることで、年収に少しゆとりを持たせたいといった願いが叶えやすくなるでしょう。
まとめ（医学博士を取得するメリットは？）
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医学博士を取得するメリットは、ダイレクトに収入アップにつながるといったものではありません。
医師としての専門性やキャリアの幅を広げることこそが、そのメリットだと言えるでしょう。
これは医師として大きな武器となり、将来のキャリアプランを描く際にも選択肢を増やすことができます。
重要なのは、大学院で学び、研究した知識をどう活かすのか、という点です。
もしも将来のビジョンが明確に描けていないのであれば、転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントというと、転職したい時にしか利用しないというイメージがありますが、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」はそうではありません。
医師一人ひとりのキャリアプランづくりにも寄り添って相談に乗ってくれるので、これからの道を決めるヒントが掴めるきっかけになるでしょう。
