診療科や働き方によって、医師の一日は千差万別です。そんな中、自分以外の医師はどんな風に過ごしているのか、気になったことはありませんか?

  • 他の医師と、自分の医師としての一日のスケジュールを比べてみたい
  • 診療科や働き方による医師の一日のスケジュールの違いを知りたい

このように思っている方に向けて、本記事ではそれぞれの医師のスケジュールを具体的に探り、医師たちがどのように日々を過ごしているのか解説します。
自分にとって働きやすい環境を見つけるための新たな視点を得るためにも、ぜひ最後までお読みください。

医師の一日のスケジュールは勤務先により異なる

医師の一日のスケジュールは、勤務先や診療科により大きく異なります。
病院の規模、クリニックか否か、夜勤・当直の有無、手術の有無などがスケジュールに影響を与えます。
例えば、一般内科や皮膚科の医師は、診療時間外の診察がほとんどないですが、産婦人科や外科の医師は、緊急事態が発生する可能性が高いです。
また、医療機関ごとの診療時間もスケジュールに影響を与えます。

一般的に、診療時間は午前と午後の部に分かれ、休診時間が設けられています。しかし、診療が長引くこともあり、医師の一日は非常に多忙であることが多いです。

医師の一日のスケジュール例5選

手術がある日の外科医、手術がない日の外科医、夜勤がない診療科、夜勤がある診療科、そして開業医。それぞれの立場で、日々のスケジュールは大きく異なります。

以下で一日のスケジュールを見ていきましょう。

1.手術がある日の外科医の場合

手術がある日の外科医の一日は、患者のケアと手術の準備に多くの時間を費やします。

  1. 7:30に出勤し、まず電子カルテをチェックして夜間の患者の状況を確認します。
  2. 8:00には回診を始め、チーム全員で患者の状況を把握します。
  3. その後、9:30に手術の準備を開始し、10:00に手術を始めます。手術は1日に2~5件行われ、1時間〜8時間以上かかることもあります。
  4. 手術の合間には、入院患者の検査結果の確認や治療方針の検討を行います。
  5. 夕方には再び患者の状態を確認するために巡回を行い、当直医に引き継ぎを行って退勤します。

このような日々は体力的にも精神的にもハードですが、患者のために最善を尽くすことが求められます。

2.手術がない日の外科医の場合

手術がない日の外科医の一日は、患者のケアと診察に重点を置いたものとなります。

  1. 7:30に出勤します。
  2. 8:30から12:30まで外来診察を担当します。新規患者やフォローアップの患者を診察し、問診から内容を把握し、検査や治療の予定を決定します。
  3. 日によっては会議などが発生することもあり、休憩時間は決まっていません。お昼ご飯は空いた時間に適宜取ることが多いです。
  4. 18:00からは、病棟に入院している患者の状態を確認するために巡回を行います。
  5. 勤務は、日勤(8:00~18:00)→仮眠を含む当直(17:30~8:30)→日勤を合わせて1セットであることが多いです。8:00から仕事をし、翌々日の18:00までの勤務となります。

3.夜勤がない診療科の場合

夜勤がない診療科の医師は、比較的定時に帰れます。その分、外来診療の時間は長く、患者の数も多いです。また、休日や祝日に出勤しなければならないこともあります。

  1. 8:00に出勤し、白衣に着替えた後にカルテのチェックや診察準備を始めます。
  2. 9:00からは外来受付が開始され、患者の受付がスタートします。
  3. 午前中の診察が終わると、13:00には入院患者への手術の説明などが行われます。
  4. 14:00には病棟を回って入院患者の経過観察を行い、その後昼食をとります。
  5. 15:00からは午後の診療が開始され、18:00には診療時間が終了します。退勤前にはカルテの整理や報告書の作成が行われ、白衣はクリーニングに出されて19:00に退勤します。

4.夜勤がある診療科の場合

夜勤がある診療科の医師は、患者のケアに夜間も尽力する一方で、睡眠管理にも留意しながら勤務に臨む必要があります。

  1. 通常業務終了後の18:00に当直が始まります。
  2. 19:00には検査結果を確認し、他の医師と治療方針について協議します。
  3. 21:00には病棟が消灯し、短い小休憩を取ります。
  4. 23:30には夜食後、看護師らとカンファレンスを行います。夜間は病棟を数時間おきに巡回し、呼び出しがあれば随時患者のもとへ向かい診察や処置を行います。
  5. 4:00には当直室に戻って仮眠をとります。8:00には出勤し、前日勤務の医師に申し送りをして通常の日勤業務に移ります。

5.開業医の場合

開業医の一日は患者との対話や診療だけでなく、クリニックの運営にも気を配る繁忙なものとなっています。しかし、入院設備のない小さなクリニックの場合、夜勤がないため、比較的無理なく働くことができるでしょう。

  1. 8:00に出勤し、白衣に着替えて診察準備に入ります。
  2. 患者の情報を確認しながら、9:00にはクリニックスタッフ全員で朝礼を行います。
  3. 午前中は診察に専念し、13:00になると昼休憩に入ります。
  4. 15:00には再び診察が始まり、18:00まで患者を診察します。
  5. その後は、事務作業やカルテ整理などを行います。開業医は医療だけでなく、事務作業もこなさなければなりません。19:30に退勤となります。

忙しい科の3つの特徴

医療の現場で働く医師の忙しさは、どの科も同じとは言えません。
では、具体的にどのような科が忙しい科と言えるのでしょうか?
以下では、忙しい科の3つの特徴について、データをもとに解説します。

1.勤務時間が長い

厚生労働省の調査によると医師の週の平均勤務時間は56時間22分ですが、科別の勤務時間は、科の特性や業務内容により大きく異なります。
以下に、厚生労働省の調査に基づく科別の週平均勤務時間をまとめます。

勤務時間が長い科

  • 外科:61時間54分
  • 脳神経外科:61時間52分
  • 救急科:60時間57分

手術や救急対応などの負担が大きいため、勤務時間が長くなる傾向です。

勤務時間が短い科

  • 臨床検査科:46時間10分
  • 精神科:47時間50分
  • リハビリテーション科:50時間24分

緊急性が低く、計画的な診療が可能な科であることを示唆しています。
出典:『厚労省:医師の勤務実態について

2.オンコールや当直が多い

医師の仕事は、患者の状態に応じて緊急的に対応しなければならない場合が多くあります。
オンコールや当直の頻度は、診療科によって大きく異なります。

労働政策研究・研修機構が2011年に実施した調査によると、「月のオンコール出勤回数が10回以上」の回答が最も多い科は以下の通りです。

  • 脳神経外科10.0%
  • 産科・婦人科9.7%
  • 小児科6.1%

重篤な症状や合併症が発生しやすいため、常に患者の状態をモニタリングし、必要に応じて手術や治療を行う必要があるためです。
オンコールが少ない診療科もあります。

放射線科では「過去1カ月でオンコール出勤が0回だった」という回答が55.2%です。また精神科は、「そもそもオンコールがない」という回答が27.3%と最も高くなっています。
緊急性が低いか、あるいは他の診療科と連携して対応することが多いため、オンコールや当直の負担が軽減されていると考えられます。
出典:『労働政策研究・研修機構:勤務医の就労実態と意識に関する調査

3.有給休暇が取りにくい

忙しい科の特徴として、有給休暇の取得が難しいという課題が挙げられます。
労働政策研究・研修機構による医師の就労実態調査によれば、有給の取得率が3日以下と答えた割合が最も多かった診療科は以下の通りです。

  • 脳神経外科55.2%
  • 呼吸器科・消化器科・循環器科52.8%
  • 救急科50.0%

患者の急患対応や手術の頻度が高く、医師の負担が大きい点が考えられます。
出典:『労働政策研究・研修機構:勤務医の就労実態と意識に関する調査

働きやすさ重視のキャリア形成の方法3選

医師の中には、仕事とプライベートのバランスを重視してキャリアを築きたい方も多いのではないでしょうか。
以下では、自身のライフスタイルに合わせた選択肢を紹介します。

1.時短勤務に切り替える

近年、医療現場でもワークライフバランスの重要性が認識され、時短勤務を選択する常勤医師が増えています。女性医師だけでなく、男性医師の間でも時短勤務の動きは広がっています。
時短勤務は、自身のライフスタイルや家庭の事情、健康状態など、さまざまな要素を考慮した上でのキャリア形成の1つです。
ワークライフバランスを確保し余裕を持ちたい場合は、時短勤務の検討をおすすめします。

2.転科や転職をする

自身のライフスタイルや働き方に合わせて、比較的忙しくない科や、当直やオンコールの少ない勤務先を選ぶことも1つの方法です。
医療機関の外でも、例えば産業医や生命保険会社の保険社医として働くなど、医師免許を生かしつつも別の現場で働くという選択肢もあります。
転科や転職を通じて自身の興味や適性に合った環境を見つけ、働きやすいキャリアを形成しましょう。

3.フリーランスになるか開業をする

独立は自分の働き方を自由に設定できる大きなメリットがありますが、同時にリスクやハードルの高さも伴います。
初期投資や経営の知識、新たな責任など、多くの挑戦が必要です。
しかし、ハードルを乗り越えビジネスが軌道に乗れば、自分の働きやすいスタイルで働けます。
キャリアとライフスタイルのバランスを自分自身でコントロールしたいと考える医師にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

働き方に悩んだら医師専門の転職エージェントに相談しよう

医療現場での働き方が多様化する中、自身のキャリアやライフスタイルに合った最適な選択を迷っている場合には医師専門の転職エージェントが頼りになります。

メッドアイは医師に特化した転職エージェントで、無料相談や非公開求人など、さまざまなサポートが受けられます。仕事に対する悩みや希望を親身になって聞いてくれ、自身に合った最適な選択肢を提案してくれる頼もしい存在です。

転職を真剣に検討している方も、将来の可能性を模索している方も、一度相談してみる価値があります。メッドアイの専門のアドバイザーが、あなたの希望に合わせた最良の選択を一緒に見つけてくれるでしょう。

まとめ(医師の一日のスケジュール例5選!)

今回は医師のスケジュールの例を紹介し、診療科や働き方による違いについて解説しました。
医師の一日のスケジュールや働き方は、診療科や環境により大きく異なります。
外科医の手術日や診療科のオンコール勤務など、各医師が直面する日々の違いを把握し、ライフスタイルや価値観に合わせた働き方を見つけましょう。

少しでも転職に関する悩みや疑問があるなら、まずはメッドアイに相談してみるのがいいでしょう。将来のキャリアプランを一緒に考え、自分に合った理想の勤務先を見つけましょう。