「研修医の期間はどんな仕事があるの?毎日のスケジュールが不安です」
「研修医のマッチングって、どうやって準備すればいいんだろう」
「研修医は手術にいつから入れるようになるのだろう」
医師としてのキャリアをスタートさせる研修医は、多くの不安と期待が入り混じる時期です。
医師としての基礎を築く研修医生活を充実させるには、臨床研修制度の理解、効率的な学習方法、そして適切なメンタル管理が大切になってきます。
本記事では、研修医制度の基本から実践的なスキル習得までを解説します。研修医が抱えがちな悩みや、日々の業務を乗り切るためのノウハウも詳しくお届けします。
研修医とは
医師免許を取得した後の2年間は、医師としての基礎を築く初期臨床研修を受けなくてはいけません。
この期間に医師は「研修医」として、実践的な医療技術と知識を習得し、医療現場での基礎を身につけていきます。
ここでは、研修医の役割や医学生との違いを解説します。
研修医の役割と責任
研修医は単なる研修生ではなく、医療チームの一員として、初期研修を受けながら臨床的な責任を持つ立場です。
初期臨床研修では、様々な診療科をローテーションしながら指導医の下で実践的な医療を学ぶことが求められます。
主な業務内容は以下の通りです。
- 指導医の下での患者の診察と治療
- カルテの記載と管理
- 基本的な医療処置の実施
- 救急外来での初期対応
- 各種検査データの評価と解釈
医療現場の第一線で患者と接し、医師としての基本的な診療能力を身につけなくてはなりません。これまで学んできた医学的知識を、実践に結びつける大切な学習期間です。
医学生と研修医の違い
医学生と研修医の最大の違いは、医療行為に対する法的な責任の有無です。
医学生は座学と基礎的な実習が中心です。医療機関での実習も行われますが、医師ではないため、臨床現場にいても医療チームの一員としては扱われません。
一方研修医は医師免許を持つ医療従事者として、実際の診療に携わる立場です。
研修医は医師としての責任を持ちながら、指導医のサポートを受けて成長していきます。
また、研修医は夜間当直や休日診療にも従事し、緊急時の対応力や判断力を養成していきます。
給与を得るという面も、医学性と異なる点です。
研修医は医療機関から給与を受け取る正規の職員として扱われ、初年度の年収は平均で500万円前後となっています。(参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)
項目 | 医学生 | 研修医 |
---|---|---|
法的責任 | 医師ではないため、法的責任なし | 医師免許を持ち、法的責任を負う |
役割 | 実習生として現場を見学・補助 | 医療チームの一員として診療に従事 |
給与 | 無給(学業の一環) | 平均年収500万円前後(厚労省統計による) |
業務内容 | 基礎的な医学知識と技術の習得が中心 | 実際の診療と医療手技の実践 |
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研修医の日常業務
研修医の1日は、早朝からの病棟回診に始まり、夜遅くまで続く多忙で充実した時間の連続で、初期臨床研修の重要な一環として臨床経験を積んでいきます。
基本的な医療行為の習得に加え、患者ケアの質を高めるための努力が求められます。
研修医の1日のスケジュール
一般的な研修医の1日のスケジュールは以下のような流れで進みます。
- 7:30 – 病棟回診、カルテチェック
- 8:30 – モーニングカンファレンス
- 9:00 – 外来診療補助、処置
- 12:00 – 昼食・症例検討会
- 13:00 – 検査・手術見学
- 17:00 – 夕方回診
- 18:00以降 – カルテ記載、1日の復習、翌日の準備
この基本的なスケジュールに加え、当直業務や緊急対応が発生することも珍しくありません。 あわせて読みたい
各診療科によって業務内容や時間配分は異なりますが、共通して求められるのは患者の状態把握と適切な対応力です。
医療行為の習得
研修医は指導医の指導のもと、以下のような医療行為を段階的に習得していきます。
- 問診と身体診察
- 基本的な検査オーダーと結果の解釈
- 採血や点滴などの基本的な処置
- 診療録の作成と管理
- 処方箋の作成 ほか
研修期間中は複数の診療科をローテーションすることで、各科の特徴や専門性を理解することができます。 あわせて読みたい
この経験は、将来の専門分野を選択する際の重要な判断材料となります。
患者とのコミュニケーション
医学的知識だけでなく、患者とのコミュニケーションスキルの向上も重要な課題です。 あわせて読みたい
患者の心理面にも配慮した丁寧な説明や対応が求められます。
特に、初診の患者や家族への対応においては、信頼関係の構築が診療の質に直結します。
救急外来での当直業務
当直業務では、様々な症例に対する初期対応を経験することで、緊急時の判断力や対応力を養います。
特に救急外来では、以下のような症例に直面することが多いです。
- 外傷や急性疾患の初期診断と処置
- 心停止や呼吸困難といった重篤な状態への緊急対応
- 入院が必要かどうかの判断
これらの経験は、医師としてのスキルアップに大いに役立ちます。 あわせて読みたい
チーム医療としての連携
研修医は、医療チームの一員として、看護師や他の医療スタッフと密接に連携する必要があります。
- 情報共有
患者の状態や治療方針を正確に共有します。 - 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)
必要な情報を迅速かつ的確に報告・相談することで、チーム全体の医療品質を向上させます。
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症例発表と学会参加
研修医の学びは日常業務にとどまりません。 あわせて読みたい
症例発表や学会参加を通じて、最新の医学知識を学び、研究マインドを養うことも期待されています。
これらの活動は、医師としての成長に欠かせない要素です。
研修先選びとその準備
医師としてのキャリアの第一歩となる研修先の選択は、将来の進路を左右する重要な決断です。適切な研修先を選ぶためには、早期からの準備と情報収集が不可欠です。
ここからは、研修医が研修先を選ぶための仕組みや、研修先選びで失敗しないポイントを解説します。
研修医のマッチング制度
研修先は、医師臨床研修マッチング協議会が運営するマッチング制度によって決まります。
研修医と研修病院のマッチングを公平に行うため、両者の希望を踏まえてコンピューターのアルゴリズムにより組み合わせを決めるシステム制度です。
このシステムにより、双方の希望を考慮した効率的なマッチングが実現されています。
マッチングは医学部の6年目に行われ、基本的な流れは以下の通りです。
- 3〜7月ごろ:選考試験
- 6〜7月:マッチング参加登録
- 9〜10月:希望順位登録・登録状況の中間公表
- 10月:マッチング結果発表
一次募集でのマッチングが成立するのは、年により違いはあるものの、おおよそ8〜9割程度です。
マッチングが成立しなかった場合、2次募集で再度研修先を探すことになります。
マッチングを成功させるには準備が不可欠
マッチング成功の鍵は、早期からの準備と積極的な情報収集にあります。気になる病院の情報を収集したり、見学に出向いたりして、十分な検討をしなくてはなりません。病院見学は研修環境を直接確認できる貴重な機会です。
できるだけ複数の病院を回り、アンマッチの可能性も考慮して、3〜4つの病院を候補として挙げておくといいでしょう。
マッチングでは研修病院側も来てほしい医学生の順位を登録するので、研修先として希望する病院の選考試験は必ず受けましょう。
病院が選考試験で評価するのは、自己PRや志望動機です。情報収集の段階で、自分のキャリアプランを考え、面接で伝えられるように整理しておきましょう。
情報収集やキャリアプラン作り、選考試験対策などを含めると、多くの医学生が4年次の終盤ごろから準備を始めています。春から初夏にかけて行われる医学生向けイベントに参加し、病院の担当者から直接情報を得るといいでしょう。
研修先の選定ポイント
研修先を選ぶ際は、自身のキャリアプランに合った研修内容や環境を考慮した総合的な判断が必要です。 あわせて読みたい
研修プログラムは、研修先の病院によって異なるため、プログラムの詳細を確認しましょう。
希望するプログラムを行っている病院には必ず見学に行き、指導医がどんな人なのかも知っておくことが大切です。
また、研修期間中の給与や福利厚生、業務内容や当直の回数など、実際の働き方を想定した情報収集をしてください。
プログラムだけ充実していても、激務で予習復習の時間が取れない環境だと、思ったように研修が進められないことも考えられます。特に給与額は生活面に影響を与えます。待遇面と研修内容のバランスを考えて、現実的に働ける環境を選択することが大切です。
アンマッチ時の対策
万が一アンマッチとなった場合でも、2次募集で再びマッチングを目指すことができます。しかし、2次募集の枠は少ないことが一般的なので、迅速な行動が求められます。
2次募集の流れは以下の通りです。
- 情報収集:
医師臨床研修マッチング協議会のサイトで2次募集を行う病院の情報が発表されるので、その中から自分の希望に近い病院を選びます。 - 病院への申し込み:
希望する病院に直接申し込み、病院と試験日程を調整します。 - 試験準備:
無事に2次募集の申し込みができたら、試験当日までに試験準備を行います。この時1次のアンマッチの原因も振り返っておくといいでしょう。マッチング結果を再度確認し、アンマッチになってしまった原因を冷静に分析しましょう。
アンマッチは決してキャリアの終わりではありません。むしろ、自身の志望動機や適性を再考する良い機会と捉え、前向きに取り組むことが大切です。 あわせて読みたい
研修医のよくある悩みとその解決法
研修医は、医師としての基礎を築く重要な時期である一方で、様々な困難に直面する時期でもあります。
ここからは、研修医が陥りやすい悩みと、その対策について見ていきましょう。
過労やストレス
医療現場特有の長時間労働や不規則な勤務形態は、研修医の心身に大きな負担をかけることがあります。
医学生とは異なり、患者最優先で動くため自分の思う通りにスケジュールが進まないことが日常です。
忙しさからストレスを溜め込んでしまわないよう、信頼できる指導医や先輩医師との相談の場を持つことが重要です。
悩みを一人で抱え込まず、不安な点や分からないことは積極的に質問し、必要に応じて周囲の助けを得る姿勢が必要です。
医療現場での人間関係
研修医として働き始めると、社会人としての人間関係を築くことや、ローテーションで周囲の人間が度々変わることもストレスに感じられるかもしれません。 あわせて読みたい
患者、指導医、看護師など、医療現場では多様な立場の人々との適切なコミュニケーションが求められます。
まずは基本的な挨拶や報告・連絡・相談を徹底し、信頼関係を築くことが重要です。コミュニケーションスキルは一朝一夕で身に付くものではありませんが、一つひとつ丁寧に対応することで次第に向上します。
研修医のキャリアと将来
医師としての専門性を確立し、キャリアを築いていく上で、研修医修了後の進路選択は重要な岐路となります。
専門分野の選び方
専門分野の選択には、自身の適性と興味、そして将来のキャリアビジョンを慎重に検討する必要があります。
大事なのは、自分自身の興味や適性を見極めることです。患者との関わり方、手技の得意不得意、研究への関心度など、様々な要素を総合的に判断します。
また、ワークライフバランスの観点も重要です。診療科によって勤務形態や緊急対応の頻度が異なるため、自身の生活スタイルとの両立を考慮する必要があります。
この選択を適切に行うためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 各診療科のローテーション経験の活用
- 指導医や先輩医師からのアドバイス収集
- 学会や研究会への参加
- 自身の適性の見極め
- ワークライフバランスの考慮
これらの取り組みを通じて得られた情報や経験は、将来の専門分野選択における重要な判断材料となります。ローテーション中の経験は、各診療科の実態を把握する貴重な機会です。 あわせて読みたい
専門医取得へのステップ
専門医資格の取得には、専攻医として3~5年程度の専門研修プログラムの履修が必要です。
大学病院と関連病院が連携して提供する研修プログラムでは、豊富な症例経験と体系的な指導を受けることができます。
研修医が専門医を目指し、専攻医になるための一般的な流れは以下の通りです。
- 研修プログラムを選択し、専攻医登録をする
- 研修を希望する医療機関を見学し、応募する医療機関を決める
- 1次募集に応募する(例年11月ごろ)
- 面接・試験
- 合格発表(例年11月末〜12月初旬ごろ)
希望する医療機関の研修プログラムが受けられることになれば、次年度から専攻医として新たなスタートを切ります。 あわせて読みたい
また、残念ながら1次募集で合格できなかった場合は2次募集に応募することが可能です。
研修医修了後の進路
研修医修了後は、様々なキャリアパスが用意されています。それぞれのパスには特徴があり、自身の目標に合わせた選択が可能です。
研修医修了後の主な進路として、以下のようなものがあります。
- 専攻医としての後期研修
- 大学院進学による研究者への道
- 公衆衛生医としてのキャリア
- 製薬会社など医療機関以外への就職
これらの選択肢の中から、自身の興味や適性、将来のキャリアプランに合わせて進路を決定することが重要です。 あわせて読みたい
特に、専門医資格の取得を目指す場合は、研修施設の症例数や指導体制が専門性の習得において大きな影響を与えるため、事前に十分な確認を行いましょう。
海外での研修医の可能性
海外でのキャリア構築を目指す場合、研究留学と臨床留学の2つの選択肢があります。
- 研究留学:
比較的ハードルが低く、留学先の確保のみで可能です。ただし、留学先で給与が出ないケースも珍しくないため、資金準備が課題となります。 - 臨床留学:
現地の医師免許取得が必要となり、難易度は高いものの、日本との二国間協定がある国では日本の医師免許で勤務できるケースもあります。
日本の医療は世界でもレベルが高いと言われていますが、それでも海外の第一線の医療を体験することで、医師としてのキャリアアップが図れるのは間違いありません。 あわせて読みたい
国際的な広い視野を培い、グローバルな人脈形成ができるのも、海外留学の大きなメリットです。
まとめ(研修医が知るべき基礎知識と成功のコツ)
研修医としての2年間は、医師としての基礎を確立する重要な期間です。
研修医時代は、将来の専門分野を見極める機会でもあります。各診療科での経験を通じて、自身の適性や興味を見出すことができます。
この経験は、その後のキャリア選択において貴重な判断材料となります。
また、研修医時代に築いた人間関係や習得した基本的な診療能力は、医師としてのキャリアを通じて重要な財産となります。
特に、同期との絆や指導医との関係は、長期的なキャリア形成において重要な支えとなることが多いでしょう。
研修医時代を充実したものにするためには、医大生の時点からの入念な準備が大切です。
早い人は4年次から活動を始め、5年次には希望する医療機関へ次々と見学に赴いています。
早めのキャリアプラン構築が大事ですので、積極的な情報収集を心がけるべきでしょう。
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