今働いている病院を退職したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、いざ退職すると決めても以下のような疑問が出てきます。

「医師が円満退職するにはどのようにすればいい?」
「医師が退職した後のキャリアプランにはどのようなものがある?」
「無責任にならない辞め方などはある?」

このように、退職について不安を抱えている医師に向けて、円満に退職するためのポイントと、退職後のキャリアプランを今回の記事で解説します。

退職が難航した際の相談先もご紹介します。
ポイントを押さえて、退職をうまく進められるようにしましょう。
さまざまなキャリアプランを見て、ご自身の具体的なキャリア設計に役立ててください。

医師が円満退職するための3つのポイント

円満退職に欠かせない以下3つのポイントを解説します。

  1. 退職を決めたら早め早めの行動を
  2. 退職の相談ではなく「報告」というスタンスで
  3. 退職理由はポジティブなものを

円満退職するには、現在働いている職場に余裕を持って退職意思を伝え、自身のキャリアプランなどを明確に伝えることが大切です。

①退職を決めたら早め早めの行動を

今後の見通しを決めたら、退職の手続きや相談はできるだけ早い段階で済ませましょう。
退職の意向を上司へ早めに報告することで、他のドクターへ担当業務を引き継ぐことや、退職までの手続きをスムーズに進められます。

また、自分から早めに上司へ働きかけることで、噂のコントロールもできます。
退職する噂が広まると、円満退職を妨げる原因になりかねません。

退職したいという趣旨が噂話から上司へ伝わります。
すると「私に直接相談してほしかった」と上司から無責任だと思われるリスクがあるでしょう。

そうなると、退職の交渉にも影響する可能性があります。
さらに、良くない噂は職場の士気を下げる可能性もあります。

上司や他の医療現場にいるスタッフを不快にさせないためにも、退職には早めの行動を心がけましょう。

②退職の相談ではなく「報告」というスタンスで

上司に退職の意思を伝える際は、相談ではなく報告にするとスムーズに進められます。
なぜなら、上司へ伝わるニュアンスが相談と報告で大きく異なるためです。

たとえば「この病院を退職しようと考えているのですが……」と相談する形で上司へ伝えると、退職を迷っていると思われるかもしれません。上司がどうにかして引き留めようと考えると、退職が困難になる可能性があるでしょう。

一方、「3月末をもってこの病院を退職させていただきます」というように上司へ報告すれば、退職する強い意思を伝えられます。
「退職をすでに決めている」と断定することで、上司は引き止めることを諦めるでしょう。

転職先をすでに決めているのであれば、上記のように退職日を明確に伝えると、より強く退職の意思を伝えられます。

③退職理由はポジティブなものを

円満退職を目指すなら、退職理由を聞かれたらネガティブなものよりもポジティブなものを伝えましょう。
両者の違いを以下で詳しく説明します。

ネガティブな理由を上司へ伝えた場合、以下のような事態になりかねません。

  • 改善の意思を告げられ、退職が難航する
  • 仮に退職できたとしても、退職までや退職後の関係に響く
  • 転職先の病院・クリニックへ良くない噂が伝わり、転職先の職場関係に影響する

退職理由が正当な内容だったとしても、円満退職を重視するならネガティブな退職理由を伝えることはおすすめしません。

退職理由はポジティブな方が、誰も傷つけない円満な退職がしやすくなります。
たとえば、以下のように将来に目を向けた退職理由が望ましいでしょう。

  • 培った医療技術を別の環境で活かしたいから
  • 思い入れのある地域で医療技術を発揮したいから
  • 医師の不足している土地で自分の知識や経験を活かしたいから
  • 現場ではなく、経営側にまわりたいから

ポジティブな退職理由を伝えつつ「今の職場や医療職種を否定しているわけではない」という意図を伝えることも重要です。

退職理由に限らず、今いる医療現場で働かせてもらったことを感謝し、尊重することで円満退職をうまく進められるでしょう。

医師の退職後のキャリアプラン4つの例

退職後によくあるキャリアプランを具体的に紹介します。
これから転職を考えている医師は、明確なキャリアプランを描く参考にしてください。

①他の病院に転職して待遇アップを狙う

医師の転職理由は下記のようにさまざまです。

  • 待遇の改善
  • 地位の向上
  • 医療技術の向上
  • 介護・育児などの家庭の事情

なかでも特に多いのは待遇アップを狙った転職です。
診療科目別の平均年収は以下のとおりです。

順位診療科目平均年収
1位脳神経外科1480.3万円
2位産科・婦人科1466.3万円
3位外科1374.2万円

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

②健診医に転職

臨床医の他には、キャリアプランのひとつとして健診医という選択肢があります。

【健診医におすすめの医師】

  • 夜勤や当直などのハードな医療現場が嫌
  • 手術や詳細な診断などの複雑な治療行為は行いたくない
  • 家庭やプライベートと両立しつつ、医師の資格を最大限活用したい

健診医は時間外労働・早番・遅番などのイレギュラーな勤務はほぼないのが特徴です。
仕事内容は、医療行為というよりも接客業務・事務仕事という方が適切といえるでしょう。

【健診医の仕事内容】

  • 健康診断の対応(レントゲンの読影・人間ドック・がん検診・内視鏡など)
  • 書類の作成

【健診医の給与相場】(勤務形態により異なる)

 給与求人例(東京都23区の場合)
スポット勤務4時間前後で日当5万円・8:30〜12:00
・4万円/回
常勤年収1000〜1200万円
(内視鏡ありだと約1500万円)
・週4・5勤務
・年収1500〜2000万円(土日の可否で変動)


③研究職・開発職に転職

【研究職・開発職におすすめの医師】

  • 大学で行っていた研究を続けたい
  • 医療現場ではなく技術・知見から医療に貢献したい

医師は、医大受験・医師資格・研修医というように膨大な勉強を経て医療現場にいます。

その過程で「現場よりも研究のほうが向いている」と感じた場合は、研究職・開発職に向いているといえるでしょう。

【研究職・開発職の仕事内容】

  • 論文の作成
  • 治験データの分析
  • 学会に向けた準備・発表

【研究職・開発職の給与相場】

  • 500万円程度

(求人例:東京都品川区勤務・フレックス・600万円〜1,100万円)

④産業医として転職

【産業医におすすめの医師】

  • プライベートとのバランスを重視したい
  • 幅広い疾患に対応できる経験を活かしたい

臨床医と比べるとイレギュラーな勤務時間はなく、育児やプライベートと両立しやすいのが特徴です。

産業医は、総合内科医の経験や一定の臨床経験があると優遇されます。
産業医になるには、医師免許とは別に産業医に関する資格を取得する必要があります。

産業医は契約する企業を複数選ぶこともでき、柔軟な働き方ができることも魅力です。

【産業医の仕事内容】

  • 企業に勤める従業員の面談
  • 労働環境における健康指導

【産業医の給与相場】(勤務形態・契約する企業の従業員の人数で異なる)

勤務形態報酬
専属週1:年収300〜400万円
週4:年収1,200万円〜1,500万円
嘱託月1:年収100万円〜200万円


退職交渉に不安を感じたらまずは相談しよう

「退職するかどうかを迷っている」
「退職したいが、自分に合った求人が分からない」

退職交渉にかかわらず、退職におけるさまざまな相談をしたい場合は、信頼できる人や詳しい人に頼りましょう。

友人や家族に相談

退職を考える前に、友人や家族への相談がおすすめです。
身近な人に決断の前に相談しておくと、プライベートな目線からアドバイスがもらえるでしょう

友人や家族に病院の関係者がいれば、転職先を紹介してくれることもあります。

同業や同僚へ相談

医療現場で信頼できる同業や同僚がいるなら、退職について相談してみましょう。
同じ医療現場の立場から、的確な助言をもらえる可能性があります。

今の医療現場が単に辛くて相談している場合は、気持ちを整理してくれたり、退職以外の打開策を一緒に考えてくれたりするはずです。

ただし前述の通り、噂が広まってしまえばご自身・職場の双方にとって良くない結末になる恐れがあります。
軽はずみに口外しないような、信頼できる同業・同僚への相談がポイントです。

転職エージェントに相談

身内や職場に加えて、転職エージェントへの相談も選択肢の一つです。
転職エージェントは第三者として、守秘義務の徹底はもちろん、豊富な転職相談の経験から的確なアドバイスがもらえます。

特に医師専門の転職エージェントは、適性に合わせた医療現場の情報を紹介してくれます。
また、採用担当者へのコンサルや、履歴書の作成代行も依頼できるのがメリットです。

医師の転職を専門的な視点で支援してくれるので、まずは相談から利用してみてはいかがでしょうか。


まとめ(医師の円満退職のポイント)

退職は、決してネガティブなことではありません。
実際、医師の転職回数は平均4〜5回で、ほとんどの医師が複数の医療現場で働いています。

昨今、医療現場の不足は社会問題となるほどで、医師の求人募集は多数行われています。
退職を将来への経験とポジティブに考えて、ご自身にぴったりな医療現場を探してはいかがでしょうか。

転職するなら、医師の転職に特化した専門エージェントのメッドアイを活用しましょう。
メッドアイは医師の転職に関する悩みを相談できるだけではなく、採用担当へのコンサルや履歴書の作成も代行できます。

今いる職場の業務が忙しく転職活動に多くの時間を割けない場合は、メッドアイをぜひ利用してください。