キャリアを築いていく過程や、家族の介護など人生のステージが変わる時などに転職を考えるのはよくあることです。
「医局を辞めたいが不安で悩んでいる」
「医局を辞める際の注意点が知りたい」
「実際に医局を辞めた人の事例について知りたい」
この記事は、医局を辞めることによるメリット・デメリットや、医局を辞める際に気をつけるべきポイントについて解説します。
また、実際に医局を辞めた医師の事例もいくつかご紹介しますので参考にしてください。
医局を辞めて後悔しないためには
医局で働いていると、医局人事や派閥の人間関係など、辛く感じる面もあります。
医局を辞めたいと考える人の中には、こうした煩わしさを解消したいという人が一定数います。
しかし、目先の感情や勢いだけで辞めてしまうと、医局で得られるメリットを失うだけの結果になってしまいかねません。
ここからは、医局を辞めたことを後悔しないために必要なポイントを解説します。
医局を辞めるメリットとデメリットについて把握する
医局を辞めることによるメリットとデメリットは後の章で詳しくご紹介しますが、辞めることによるデメリットを事前に把握しておくことが重要です。 あわせて読みたい
また、医局を辞めるタイミングについてもよく検討する必要があります。
自分にとって一番いいタイミングがいつなのかも一考しておくといいでしょう。
医局を辞める時期の考察については、こちらの記事でも解説しています。
医局を辞めたい理由を明確にする
医局だけに限った話ではありませんが、職場を辞めたいと感じた時は、まず冷静にその理由を整理するのがおすすめです。 あわせて読みたい
辞めたいと感じる理由を箇条書きで並べてみて、その解決策を1つずつ考えてみてください。
それと同時に、キャリアプランを今一度見つめ直し、辞めたい理由を解決することがキャリア作りの助けになるかどうかも考察してみましょう。
辞めたい理由とその解決策を明確にしておくと、転職先探しの条件も決めやすくなります。
医局を辞める3つのメリット
ここからは、医局を辞めることで得られるメリットの代表的なものを3つご紹介します。
1.転勤や異動がなくなる
医局で働いていると避けて通れないのが医局人事です。 あわせて読みたい
大学病院では、地域医療の維持や医局員の技術習得のため、関連病院への転勤を伴う人事を行います。
遠方の病院に異動になると、引越しも必要になりますし、ライフスタイルの見直しを迫られるケースもあるでしょう。
医局員側から人事異動を断るのは容易ではなく、苦痛に感じる医師もいるのではないでしょうか。
民間病院に転勤すれば、よほど規模が大きい病院でない限り、転勤するケースはなくなりますので、医局人事からの解放をメリットと捉える人は少なくないでしょう。
2.派閥や煩わしい人間関係がなくなる
医局内には教授ごとの派閥や年功序列といったヒエラルキーが存在している場合もあります。 あわせて読みたい
人間関係が良好に機能していれば問題ありませんが、業務過多で雰囲気が悪かったり、相性が悪かったりすると、決して居心地がいいものではありません。
職場の人間関係に悩んでいる場合、転職で一旦リセットすることで、解決できる可能性が高くなります。
また、幅広い領域の医師と交流したいのに、派閥があってやりづらいと感じているのであれば、医局を辞めることでしがらみがなくなるのはメリットと感じられるでしょう。
3.待遇や勤務条件が良くなる
医局を辞めて民間病院に転職すると、大抵の場合は収入アップが見込めます。 あわせて読みたい
大学病院の医師は民間病院の医師と比べると、全体的に平均年収が低めだからです。
また、医局では教授の手伝いや上司のサポートなど雑務を引き受けることも多いですが、民間病院では仕事の分業が進んでいるところが増えています。
このため雑務が減り、より臨床の仕事に集中できるというメリットがあります。
臨床業務に重きを置きたいと考えている医師であれば、タイミングを見計らって医局を辞めることで、メリットを感じられるでしょう。
医局を辞める3つのデメリット
医局人事や派閥、教授の手伝いなどの雑務に低めの収入と、一見するとつらそうにしか見えない医局勤めですが、そこには医局ならではの恩恵が受けられるメリットもあります。 あわせて読みたい
ここからは、医局を辞めてしまうことで想定できるデメリットを3つご紹介します。
1.専門医や学位が取りづらくなる
専門医資格やサブスペシャリティ、学位取得を目指している方の場合、目標を達成するまでは医局にいるほうが有利です。 あわせて読みたい
専門医やサブスペシャリティは、民間病院でも取得可能な医療機関が出てきましたが、学位となると大学で取得するしかありません。
キャリアプランを考えた時に取っておこうと決めた資格は、医局にいるうちに取得することをおすすめします。
2.海外留学や最先端の知識を得られる機会が少なくなる
大学病院で医局員をすることのメリットとして、最先端の知識や情報に触れる機会が多いことが挙げられます。
また、キャリアアップのために海外留学を目指す際にも、大学病院に所属していたほうが有利です。
医師は現役で働いている間は、常に学びと情報収集が必要となります。
医局を辞めることで、そうした恵まれた環境を失うことをある程度覚悟しなくてはなりません。
3.医局を通じた人とのつながりが得られなくなる
すべての退局者に当てはまることではありませんが、医局を辞めてしまうと、それまで築いてきた人間関係はリセットされる場合があります。 あわせて読みたい
円満に退局できて、その後に関係を継続できた人でも、内部にいる時に比べれば関係性は多少希薄にならざるを得ないでしょう。
遠方への転勤でも断りづらい医局人事でさえ、万が一自分が体調不良を起こして勤務できない時は、医局が代替要因のアサインなどでフォローしてくれる心強さがあります。
医局を出るということは、こうした安心感を手放し、自分の身一つでやっていく決意を求められるのです。
医局を辞めるまでの準備と注意点
医局を辞める理由を考え、解決策を模索し、メリットとデメリットを把握した上で、やはり医局を辞めると決断したのであれば、円満な退職を目指すべきです。
円満に退職することで、その後の関係性を維持しやすくなりますし、転職後の職場での評価が下がるなどのリスクを回避できます。
ここからは、医局を辞めるまでに考えておくべきことや準備しておくことを解説します。
1.自分にとってベストな時期を選ぶ
退職を決意したら多くのことを考える必要がありますが、そのうちの1つが辞めるタイミングです。
学位(医学博士)の取得を目指している場合は、取得した後が辞めるタイミングの1つになります。
他に辞めるきっかけとなりうることは、下記があります。
- 家庭環境の変化(子育てや介護など)
- 医局のルール変更
- 開業のための準備
- 結婚
つまり、辞める時期は「〇〇の時」と一概には言えません。
たとえば、家庭環境の変化の場合、1日でも早く退職したいと思うこともあるでしょう。
自分にとってのベストな時期で、3〜6カ月と退職までは十分に期間をとって早めに伝えることが大切です。
2.専門医を取得しておく
キャリアプランを通して、専門医を取っておこうと考えている方は、その資格を取ってから辞めることをおすすめします。
医局を出てしまうと、専攻医プログラムをしている民間病院に採用してもらうしか道がなくなるため、専門医資格を取りづらくなります。
ある程度経験を積んでいたとしても、資格認定を受ける前に辞めてしまうと、資格申請に必要な教育責任者の承認を得られないといったトラブルが考えられます。
また、医局を辞めるための転職活動でも、専門医を持っていた方が自分の市場価値を上げられ有利です。 あわせて読みたい
専門医資格取得前後で医局を辞めるメリット・デメリットの違いについては、こちらの記事も参考にしてください。
3.キャリアプランの相談先を見つけておく
医局で働いていると、先輩の姿をモデルとすることで、自分のキャリア形成の道筋を判断しやすいというメリットがあります。
キャリアプランに悩んだ時も、医局内で情報収集したり、上司に意見を聞いたりすることも可能です。
医局を辞めてしまうと、これからのキャリア作りに関する情報は、自力で収集していかなくてはなりません。
相談役を見つけることも大事になってきますので、医師専門の転職エージェントに相談するなどの手段を確保しておくことが重要です。
4.転職先は辞める前に探しておく
転職先は医局を辞める前に探しておきましょう。
転職先が決まっていれば、下記のようなことを防ぐことができます。
- 引き留めや引き伸ばしをされる
- 転職活動を邪魔される
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5.退職理由はポジティブなものにする
退職する理由はさまざまです。中にはネガティブな内容もあるでしょう。
しかし、ネガティブな理由であっても、辞める時は必ずポジティブな理由を伝えることが大切です。
その理由には、以下が挙げられます。
- 辞めるまでの間に人間関係が悪化すると、医局に居づらくなるため
- 職場や業務内容の改善を提案されて引き留められる可能性があるため
- 医師の世界は狭く、今までの人間関係が転職先で役立つ可能性もあり、マイナスの印象を残さないほうが良いため
ポジティブな退職理由とは、下記などがあります。
- さらに、医師としてスキルアップをしたいため
- 開業予定のため
- 働き方を家族のリズムに合わせたいため
ネガティブな退職理由は、仲の良い同僚にも伝えないようにしましょう。 あわせて読みたい
医局を辞めて転職した事例
ここからは、実際に転職エージェントを利用して医局を辞めた転職事例を3つご紹介します。
【整形外科】41歳 男性
整形外科、年収1,800万円、41歳男性の場合です。
転職前の業務内容は外来・病棟管理・手術でしたが、転職後は外来のみでの業務に変わりました。
診療科 | 整形外科 |
---|---|
転職先での業務 | 外来のみ |
転職理由 | 開業することが夢で、クリニック経営の知識や経験を積みたかったため |
転職中のアクション | プロの転職エージェントに転職活動を手伝ってもらった |
転職後の感想 | プロに相談をしたことでさまざまな面でサポートしてもらえて助かった |
【眼科】37歳 女性
眼科、年収660万円、37歳女性の場合です。
転職前の業務内容は外来・病棟管理・手術・救急でしたが、転職後は外来・病棟管理・手術の業務内容に変わりました。
診療科 | 眼科 |
---|---|
転職先での業務 | 外来・病棟管理・手術 |
転職理由 | 眼科ではない業務を任されていて、眼科医としてのスキルアップが望めなかったため |
転職中のアクション | 仕事の疲れが限界でプロに相談をした |
転職後の感想 | 転職先が見つかっていたにもかかわらず、上司がなかなか教授に退局を伝えてくれなかった。でも、プロに協力してもらったおかげで退職できてよかった |
【麻酔科医】36歳 男性
麻酔科医、年収1,400万円、36歳男性の場合です。
転職前と転職後の業務は同じオペ麻酔です。
診療科 | 麻酔科 |
---|---|
転職先での業務 | オペ麻酔 |
転職理由 | 次々と同僚や上司が退職し、今後の展望が見えなくなったため |
転職中のアクション | 転職条件にこだわっていたためプロに依頼をした |
転職後の感想 | 転職後のメリット・デメリットも含めて説明してくれたため、転職を安心してできた |
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まとめ(医局を辞めるメリット・デメリットとは?)
医局を退職する際、所属しているメリット・デメリットを理解して行動することが大切です。
退職をする際のポイントは、退職理由をポジティブな理由にして円満退職をすることです。
しかし、どのような退職理由であれば角が立たないかわからなくなることもあるでしょう。
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転職を成功させるためには勢いで転職せずに、落ち着いて転職活動を進めましょう。