毎日忙しく働いているけれど、お給料は思ったほど多くないと感じている医師の方は少なくないでしょう。
普段はあまり気にしていなくても、ふと他の医師と比べて自分の収入は高いのか低いのかを考えることもあるかもしれません。

「小児科医の平均年収は?」
「小児科医の年収は他の診療科と比べてどうなのか?」
「小児科医が収入を上げるには?」

この記事では小児科にスポットを当てて、転職エージェントの視点から年収事情を詳しく解説します。
現在小児科医として働いていて、他の医師との違いが気になる方や、これから小児科医を目指したい方は参考にしてください。
また小児科医が年収をアップさせる方法についてもご紹介します。

小児科医全体の平均年収は1,220万円

労働政策研究・研究機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、小児科医の平均年収は1,220万円でした。

画像引用:https://axxis.co.jp/magazine/54745

小児科医の年収の割合を見ると、1,000万〜1,500万円の割合が33.1%程度と最も高いことがわかります。
1,500万〜2,000万円は28.4%で、年収1,000万円以上の割合は全体で50%を超えています。

小児科医の年齢別平均年収

年齢別の平均年収は以下のとおりです。

年齢平均年収
20~24歳792.3万円
25~29歳986.9万円
30~34歳1084.2万円
35~39歳1237.1万円
40~44歳1390.0万円
45~49歳1556.8万円
50~54歳1668.0万円
55~59歳1598.5万円
60~64歳1125.9万円

小児科医の平均年収1,220万円に該当するのは35歳以上からで、比較的若い年代から平均年収に到達しています。

20代のうちの年収は1,000万円に満たないものの、順当に年齢を重ね、キャリアを積んでいけば高収入を確保できることがわかります。

小児科医の医療施設別の平均年収

画像引用:https://axxis.co.jp/magazine/54745

大学・国公立病院の平均年収は、1,400万円〜2,000万円未満がおよそ半数を占めています。
一方で600万円未満から2,000万円以上の層もあることから、年収のバラつきがわかります。
民間病院の平均年収は、1,000万円〜1,400万円未満と1,400万円〜2,000万円未満で9割を占めている状態です。


クリニックの平均年収は、600万円未満と1,000万円〜1,400万円未満、1,400万円〜2,000万円未満のそれぞれの年収帯が33%と同率でした。
データを見ると、医療施設ごとに平均年収の事情は大きく異なることがわかります。
キャリアプランを描く際は、希望する施設や環境、得られる年収を把握しておくことが大切です。

小児科と他診療科の年収を比較

続いて、小児科医の平均年収を他の診療科と比較してみましょう。各診療科の平均年収は以下のとおりです。

順位診療科目平均年収
1位脳神経外科1,480.3万円
2位産科・婦人科1,466.3万円
3位外科1,374.2万円
4位麻酔科1,335.2万円
5位整形外科1,289.9万円
6位呼吸器科・消化器科・循環器科1,267.2万円
7位内科1,247.4万円
8位精神科1,230.2万円
9位小児科1,220.5万円
10位救急科1,215.3万円
11位その他1,171.5万円
12位放射線科1,103.3万円
13位眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1,078.7万円

小児科医の年収は9位で、平均的な順位・年収帯であることがわかります。
1位の脳神経外科位との差は200万円ほどで、決して低年収の診療科ではないことがわかります。

小児科医の年収に対する満足度

小児科医の年収に対する満足度は、他の診療科と比べると高いものです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表によれば、年収に対して「満足している」「まあ満足している」と回答した医師の割合が高いのは、以下の診療科でした。

診療科年収への満足度
(「満足」「まあ満足」の合計)
全体40.3%
小児科51.2%
産科・婦人科47.6%
精神科45.8%
麻酔科45.8%
脳神経外科44.7%
内科42.5%

(参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

全体平均で4割程度の医師が年収に満足しているのに対し、小児科では5割を超える医師が満足に感じています。
診療科別でも一番高い満足度で、納得できる待遇で働いている医師が多いと言えるでしょう。

小児科医の仕事内容とは

小児科医の主な仕事は、乳幼児から15歳までの診断・治療です。


一般的な病院やクリニックは、外科や内科、内科の中でもさらに細かい分類などで診療科が分かれています。
対して小児科は、15歳までであればさまざまな症状を診断できます。
また小児科では、子どもがかかりやすい病気に特化した治療や診断が行われるのも特徴です。

薬の処方なども含め、子どもの治療に特化した専門知識を有した上で行う仕事が多いでしょう。

小児科医の労働時間

小児科医の年収に対する満足度は高いですが、その一方で労働時間は長めの傾向があることがわかっています。
小児科医は子どもを診るという特性上、患者本人である子どもと、その親との両方に対応することから、一人当たりの対応時間がどうしても長くなりがちです。
週あたりの労働時間が医師全体の平均で46.6時間であるのに対し、小児科の平均は52時間と平均を上回っています。
週あたり労働時間の平均が長くなっている診療科には、以下のような科が並びました。

診療科週あたり労働時間の平均
全体46.6時間
救急科54時間
脳神経外科53.3時間
外科52.5時間
小児科52時間
産科・婦人科・呼吸器科・消化器科・循環器科49.4時間
整形外科46.8時間

(参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

また小児科医は宿直回数も多めの傾向があり、月に5回以上の宿直があるケースが2割以上にのぼっています。

小児科医になりたい人が意識すべき3つのポイント

実際に小児科医として働く現場の声に耳を傾けると、小児科ならではの意識しておきたい点が見えてきます。

  • 子ども好きであることが重要
  • モンスターペアレントに気をつける必要がある
  • 子どもの病気は時間を問わない

これら3つのポイントについて、順に解説します。

1.子ども好きであること

小児科医は当然ながら子どもを対象とした診療に特化しているため、子ども好きの人でないと働き続けることは難しいでしょう。

特に小さい子どもは、自分の症状をうまく伝えられないことがほとんどです。子どもの気持ちに寄り添い、安心して治療を受けられるような空気を作れる人が小児科医に向いています。

2.モンスターペアレントに気をつけること

子どもの病気や不調に対し、過度に敏感となりモンスターペアレントのようになってしまう親もいます。単に子どもと向き合うだけでなく、親の変化や思いに対応できるキャパシティを持っておくことも大切です。

理不尽なクレームをもらうことも少なくないため、耐性をつけていく必要もあるでしょう。

3.時間を問わない対応が必要であること

大人とは異なり、時間を問わずに病気やケガを発症しやすいのが子どもの特徴です。夜間診療も多いため、まとまった睡眠時間や休日を確保できないこともあるでしょう。

プライベートの時間をしっかり確保したワークライフバランスを実現したい人は、小児科は不向きかもしれません。

小児科医として年収を上げる3つの方法

小児科医が年収をアップさせたい場合、以下3つの方法があります。

  • アルバイトを掛け持ちする
  • 転職する
  • 開業する

1.アルバイトを掛け持ちする

経験を増やすためや収入を増やすために、別の医療機関で非常勤として掛け持ちで働く医師は少なくありません。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査でも、勤務先の数が2つ以上ある医師は、全体の52.1%に上るという結果が出ています。医師のアルバイトは時給で1万円程度が相場と言われていて、仮に週1回8時間のアルバイトをした場合、400万円近く年収アップが可能です。 

医師がアルバイトを探す際に、さまざまな症例を診たいといった、スキルアップのためのアルバイトの場合は、勤務先選びを慎重に行う必要があります。
しかし年収アップだけが目的であれば、勤務可能な時間帯や曜日といった条件が合えば良いので、比較的仕事は見つけやすいでしょう。

掛け持ちで働く際には、メインの勤務先での業務に支障が出ないよう配慮することはもちろん、勤務先で副業を禁じていないかを確認してください。

2.条件の良い職場に転職をする

医師の収入はスキルや資格といった個人の資質だけでなく、どの医療機関で働くかによっても変わってきます。
民間病院と公的病院では、やはり民間病院の方が収入が高くなる傾向があります。
さらに、都市部のクリニックや人手不足で悩む地方の病院など、相場以上で求人が出ているケースもあるでしょう。

今の職場で年収が低いと感じたら、もっと高い収入が望める職場へ転職するのも1つの方法です。
ただし、単純に給与面だけ見て飛びついてしまうと、いざ働き始めたら激務だったという可能性もあり、注意が必要です。
待遇面以外の情報も詳しく収集して判断することが大切になってくるでしょう。
医師の転職に特化した転職エージェントを利用すると、こうした情報も集めやすくなるのでおすすめです。

3.開業をする

年収を上げる方法には、開業するという選択肢もあります。
収入面だけでなく、自分の城を持つといった面からも、キャリアプランの最終目標に開業を置いている医師は多いのではないでしょうか。
小児科の開業医の平均年収は、厚生労働省の調査によれば、2,100万円ほどとなっています。 

しかし開業には多額の費用と準備が必要となり、医師としての経験だけでなく、経営センスも必要です。
それでも開業して軌道に乗せることができれば、勤務医よりも大きく収入をアップさせることが見込めます。
開業を目指すなら、すでに開業しているクリニックでアルバイトをして、収入を担保しながら経営ノウハウを学ぶといった道筋を考えてみるのもいいでしょう。

働き方に悩んだら医師専門の転職エージェント「メッドアイ」

小児科医の働き方の特徴の1つに、勤務時間が長くなりがちという点にあります。
患者が幼いほど、愁訴を聞き取ることが難しく、親御さんへの対応も必要です。
ワークライフバランスを保つためや、収入アップを目指すために、今の職場では行き詰まってしまうことがあるかもしれません。

キャリア形成や職場での人間関係、年収や待遇などで悩みを抱えてしまったら、転職で環境を変えるという選択肢があります。
医師の転職では、情報収集が重要です。転職活動をスムーズに進め、後悔しない転職を実現するために、転職エージェントの利用をおすすめします。

医師の転職に特化したメッドアイでは、非公開のものを含めた豊富な求人情報から、一人ひとりの希望に合った職場をマッチングすることが可能です。
無料相談もできますので、まずは今の職場での不満や悩みを可視化して、キャリアプランに沿った経験が積める職場探しの足がかりにしてください。

まとめ(小児科医の平均年収は?)

小児科医の年収は、平均で1,220万円程度ですが、その一方で労働時間は週あたり平均で52時間程度と長めの傾向があります。
しかし、小児科医の年収に対する満足度は決して低くありません。そこには、小児科医ならではのやりがいや、自分自身の適性もプラス要素として働いているのではないでしょうか。

キャリアを着実に伸ばし、望む医療を提供できる医師に成長してくには、気持ちよく働ける職場があってこそです。
もしも今の職場で年収や働き方に不満があるなら、転職することで解決を図ってみるのもおすすめです。
働き方に悩んだときには、転職するかどうかはさておいても、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談してみてください。
キャリアプランや働き方に悩んだ医師に向き合っている転職エージェントは、解決策にも豊富なノウハウを持っています。