アスリートに寄り添い、最高のポテンシャルを引き出す縁の下の力持ちであるスポーツドクターという存在。
憧れているという方も少なくないようですが、どのような適性や資格が求められるのでしょうか。

「スポーツドクターに興味があるが自分が向いているかどうか知りたい」
「スポーツが好きでスポーツドクターに興味があるが、必要な資格やスキルについて知りたい」
「スポーツドクターとして、できればチームへの帯同も考えているが必要な資格や要素が知りたい」

この記事では、スポーツドクターという働き方に興味がある方や、これから目指したいという方のために、スポーツドクターに向いている人の特徴や役割などをご紹介します。
スポーツドクターの年収事情や必要な資格についても解説しますので、参考にしてください。

スポーツドクターに向いている人の特徴

スポーツドクターという仕事は、患者さんの怪我や病気を治すという、医師の本来的な業務とは少し異なる役割を持ちます。
スポーツをする人の怪我の回復や体調を守るのと同時に、良好なコンディションを引き出せるケアやメンテナンスを受け持つことになるのです。
ここでは、どのようなタイプの人がスポーツドクターに向いているのかについてご紹介します。

スポーツが好きな人

スポーツドクターを目指すのであれば、自分自身もスポーツが好きなことが望ましいです。
スポーツドクターが受け持つのは、なんらかのスポーツをしている人であり、それぞれの競技特有の体の使い方などを熟知する必要があるからです。
時には選手のメンタル面のケアも行うこともあります。
担当する選手の悩みや希望を聞いて理解できるためには、競技のルールや試合の流れなど、体に関すること以外にスポーツ業界の知識も身につけておかなくてはなりません。

自分でもやっていた競技であれば、そうした点はクリアしやすくなるので、スポーツ経験者の方が向いていると言えるでしょう。
仮に自分自身がスポーツをした経験がなくとも、スポーツが好きで探究心があれば、立派に務めていけると思います。

人のサポートが好きな人

アスリートの健康維持や技術向上、そして怪我をしてしまったらその治療やリハビリなど、スポーツドクターの仕事はとにかく人を支えることに終始します。
さらに団体競技のチームに帯同するような場合は、チーム全体を支えることにもなるのです。
前提として人を支えることが好きだという適性が必要なのは言うまでもないでしょう。

自分のサポートで選手がイキイキと競技に集中でき、好成績を出したら一緒に喜べるのがこの仕事の醍醐味です。
医師本来の「人を助ける」責任感も必要ですが、それとは少し異なる、「一緒に上を目指す」感覚がある人が向いています。

指導力やコミュニケーション能力のある人

スポーツドクターは治療やケアだけではありません。
試合や日々のトレーニングで故障を起こさないよう、体の使い方や怪我の予防方法のレクチャーといったスポーツトレーナー的な業務も行います。
また、故障した選手がいた場合、治療やリハビリを通して競技に戻っていけるようにサポートすることもあるでしょう。
こうした指導を行う際の伝える力や指導力も、スポーツドクターに欠かせないスキルです。

いつも選手と密にコミュニケーションをとって、心身の状態を把握し、適切な対応や指導を行うためには、コミュニケーションスキルも磨いておく必要があります。
選手から信頼を得られるスポーツドクターには、高い指導力や共感力が欠かせないのです。

スポーツドクターに求められる知識と能力

スポーツドクターには、医師としての知識や経験だけでなく、幅広い知識や能力が求められます。
一番大きいのはスポーツに関する知識ですが、それ以外にもさまざまな場面に対応できるスキルが必要です。
ここからは、スポーツドクターに求められる知識や能力にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

幅広い医学知識

一般的にスポーツドクターになる人は、整形外科から目指すケースが多い傾向があります。
しかし、内科や外科、精神科といった、それ以外の診療科の知識も幅広く必要です。
スポーツドクターは、アスリートの体に関することを全般的にサポートしていきます。
筋肉や骨など、スポーツで直接関連する部位だけでなく、選手が病気にかかっていないかもある程度察知できることが重要です。
女性の選手を担当するのであれば、婦人科の知識も必要になってきます。
さらに、健康管理の面から睡眠や栄養学などにも精通していると、より仕事の幅が広がるでしょう。

語学力や渡航医学の知識

国内のみで活動するのであれば不要かもしれませんが、世界でTOPを目指し活躍するアスリートをサポートする場合は、海外での仕事も発生します。
語学は当然のこと、渡航先で必要な予防接種や、国際的な感染症の情報などを収集し、的確に対応しなくてはなりません。
選手が安全に遠征でき、現地で競技に集中できるよう、万全の準備が求められるのです。

渡航医学(旅行医学)に関する知識を備え、渡航先に合わせた対応力があれば、海外遠征の仕事がこなせるようになり、スポーツドクターとしての活動の幅が広がるでしょう。

患者のメンタルをサポートする能力

アスリートのメンタルサポートには、専任のメンターや精神科医がつくケースもありますが、スポーツドクターが関わるケースも少なくありません。
怪我で競技ができないで気落ちした選手のモチベーションの維持もサポートします。
伸び悩んでいる選手に効果的なトレーニングを積んでもらうためにも、メンタル面のケアが必要です。
故障をしないために気をつけてほしいポイントを伝えるにしても、事務的に支持するよりは、寄り添ったコミュニケーションがとれたほうが伝わりやすいでしょう。

スポーツドクターの仕事とは

スポーツドクターには、プロやトップクラスのアスリートに帯同するような働き方から、地域住民の健康促進の仕事を担うものまでいろいろなスタイルがあります。
ここからは、スポーツドクターの仕事内容や年収事情を詳しく解説します。

スポーツドクターの仕事内容

スポーツドクターの仕事内容は、非常に幅広いものです。
働く場所によって、活動内容も大きく異なってきます。
特定のチームやアスリートに帯同するのであれば、選手のケアや遠征時の対応、トレーニングメニューのチェックなどが主な業務となります。
クリニックや病院で働く場合は、怪我をした競技者のリハビリテーションや、地域住民への運動指導などが主な業務となるでしょう。
その他にも、競技会での医療チーム運営や、スポーツ医学の研究職などがあります。

スポーツドクターの年収

スポーツドクターの年収は、働く場所によって大きな違いが出てきます。
プロ野球の球団など、収益性の高いチームなどに帯同して活躍すれば、年収2,000万円以上の収入を得るというケースもあるでしょう。
個人のアスリートと契約して仕事をする場合は、複数のアスリートを掛け持ちすることもあり、収入度合いはまちまちです。
個人事業主として、仕事のバランスをうまく管理できれば、収入をアップさせることもできるのではないでしょうか。
クリニック勤務であれば、目安になるのは整形外科医の年収です。

労働政策研究・研修機構によれば、整形外科医の平均年収は1,289万円です。

スポーツドクターになるために必要な資格

スポーツドクターになるためには、最低限医師免許が必要です。
医師としてのスキルを身につけた上で、スポーツドクターとしての認定を受けることで、活躍できるようになります。
日本では以下の3つの団体が認定業務を行っていますが、一流のスポーツドクターを目指すのであれば、すべてを取得しておくと助けになるでしょう。
各団体の認定条件などを詳しくご紹介します。

日本スポーツ協会公認スポーツドクター

日本スポーツ協会公認スポーツドクターは、日本スポーツ協会が1982年に日本で最初に作ったものです。
競技者のケアや診療の他、競技会に関わったり国際試合の日本代表チームのチームドクターなどを請け負います。
資格取得には協会や関連団体の推薦が必要なため、取得のハードルが一番高い資格です。

<取得に必要な条件>

  • 医師免許取得から4年以上経過していること
  • 日本スポーツ協会または加盟団体などの推薦を受けること
  • 協会指定のスポーツ医学講習会を受講すること

日本整形外科学会認定スポーツ医

スポーツドクターを目指す方の中で多いのが、整形外科で経験を積んでからというパターンです。
日本整形外科学会の認定スポーツ医は、整形外科医が持つスキルを活かした、アスリートの怪我や障害の治療や予防をメインとした活動を行うのに適した資格です。
学生や高齢者などのスポーツに関するサポートも担い、リハビリテーションの分野でも活躍できます。

<取得に必要な条件>

  • 整形外科の専門医資格を有する
  • スポーツ医学の研修会を受講する

日本医師会認定健康スポーツ医

日本医師会が認定する健康スポーツ医は、医師免許があれば取得できるため、スポーツドクターの資格の中では一番取りやすいものとなります。
この資格を取得しておくと、他のスポーツドクターの資格を取る際に必要な講習の受講が一部免除になるという特典もあり、最初に取得する資格としておすすめです。
自治体主催のスポーツ大会などで救護活動や運動指導の業務も担います。

<取得に必要な条件>

  • 医師免許を有する
  • 医師会主催の健康スポーツ医学講習会を受講する

スポーツドクターの仕事が気になったら

スポーツドクターの仕事をしてみたいと思ったら、まずどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。
実はスポーツドクターという仕事は、診療科を転科するような完全な転身をしなくともスタートすることが可能です。
ここからは、スポーツドクターの仕事の見つけ方などをご紹介します。

アルバイトなどから始めてみる

スポーツドクターに興味がありやってみたいと思ったら、まずは日本医師会の講習を受け健康スポーツ医の資格を取得することをおすすめします。
その上で、仕事への適性があるかどうかを知るために、非常勤やスポット勤務などで働ける仕事を見つけてみるといいでしょう。

スポーツドクターの資格はどれも4〜5年で更新が必要な資格となりますので、最初の更新までの間に少しずつ経験を積むことで、向き不向きの判断がしやすいのではないでしょうか。
自分に適性があるという手応えがあれば、そこから本格的な仕事探しをしても遅くはないでしょう。

医師転職の専門家に相談する

スポーツドクターを本格的に目指したいという方は、転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。
資格取得を目指しながら、スポーツドクターの求人情報を探すのもいいですし、向き不向きがわからないといった不安を相談することも可能です。

医師専門転職エージェントのメッドアイでは、一般に公開されていない情報も含めた豊富な求人情報を持っており、よりよい働き方を目指したい医師をサポートします。
転職だけでなく、医師としてのキャリアプランの悩みにも寄り添い、解決までを親身になって支えます。
スポーツドクターとして少しずつ仕事を経験したい方のための、スポット求人や非常勤求人もご紹介が可能です。
キャリアプランに悩んだら、まずは気軽に相談してみてください。


まとめ(スポーツドクターに向いている人の特徴は?)

世界を股にかけるプロアスリートから、学生の部活動まで、あらゆるスポーツをする人を支えるスポーツドクターという働き方には、さまざまな魅力があります。
スポーツが好きな方や、頑張る人を支えることに生きがいを感じる人にはぴったりの職業と言えるでしょう。
医師として幅広い知識を必要とするため、学び続けることが好きな方にもおすすめです。

スポーツドクターの活躍する場所は病院や企業などかなり幅広く、仕事探しは意外と大変です。
医師の転職に特化したエージェント「メッドアイ」を上手に活用することで、目指す道への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。