医師には数多くの種類があり、公衆衛生医師はその中の一つです。どのような働き方か、年収はどれくらいかなど、気になっている方も多いのではないでしょうか。

「公衆衛生医師の働き方について知りたい」
「公衆衛生医師の年収はどれくらいなのか知りたい」

本記事では、公衆衛生医師の仕事内容や年収について詳しく解説します。
公衆衛生医師は高い責任能力が求められる一方で、地域の医療に広く関われる仕事です。魅力がある仕事であるため、ぜひ本記事を最後までチェックしてください。

公衆衛生医師とは

公衆衛生医師とは、地域の住民全体の医療を整えるために、仕組みを考えたりルールを作ったりする行政職の医師です。
医師といえば病院や診療所といった医療機関で働くイメージが強いですが、公衆衛生医師はさまざまな事業に携わり地域の人々を支えています。

具体的には、感染症や母子保健、食品や環境の生活衛生などの事業に公衆衛生医師は携わっています。
制度やルールを作るのが仕事であるため、実際に診療を行う医師とは異なる立場であると言えます。

公衆衛生医師の勤務先と働き方

公衆衛生医師は保健所や都道府県庁などで勤務をしています。勤務先によって業務内容や移動の有無などは異なります。

例えば、都道府県の保健所では、市町村と協力をして食品衛生や感染症に関する業務や、危機管理対策を行うのが主な業務です。
公衆衛生医師の定年後は、教育や指導、コンサルティングなど、さまざまな分野で活躍しています。

公衆衛生医師の年収

公衆衛生医師の年収は、医師免許取得後5年目で660万〜1,200万円、10年目で770万〜1,300万円程度となっています。医療機関に勤務する医師と比べると、決して高くはありません。

しかし、勤務する自治体次第では、医療機関で働く場合と比べて年収が高くなるケースもあります。
公衆衛生医師として働く方は、年収だけではなく、やりがいやワークライフバランスを考えて選択するケースが多い傾向です。

公衆衛生医師のメリットとやりがい

公衆衛生医師として働くメリットややりがいは以下の通りです。

  • 地域医療に貢献できる
  • 災害や感染症などによる健康被害の拡大防止に携われる
  • システムや制度の確立に携われる

1.地域医療に貢献できる

公衆衛生医師は医療機関で働く医師とは異なり、直接患者と関わることは多くありません。
一方で、
疫病予防や保健対策などで、住民の健康に関わることはできます。

個人ではなく地域全体の医療に貢献ができるため、健康で活気が溢れる街を作りたいと考えている方にはおすすめの仕事です。
広範囲の医療に関われるのは、公衆衛生医師ならではのメリットでしょう。

2.災害や感染症などによる健康被害の拡大防止に携われる

災害や感染症は多くの人が亡くなってしまう可能性があります。
公衆衛生医師は
災害医療やへき地医療、食品や環境などに関する生活衛生、ワクチン接種や保診・保健指導などの幅広い取り組みを通じて、地域での健康被害拡大の防止に携われます。

より多くの人の命を守れる可能性がある仕事です。
医療機関で働いている医師にはできない経験ができるのは、公衆衛生医師ならではのメリットと言えるでしょう。

3.システムや制度の確立に携われる

公衆衛生医師は各自治体の感染症やがん、難病に関する制度を整えたり、システムを作ったりできます。
直接、治療を行うわけではありませんが、システムや制度によって健康で安心して過ごせる社会を作れます。

実際に制度が原因で、つらい思いをしている住民は少なくありません。
そういった方の声を聞いて、住みやすい街を作れるのは公衆衛生医師ならではのメリットです。

公衆衛生医師のデメリット

公衆衛生医師は数多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 臨床現場から離れてしまう
  • 募集枠が少ない
  • 感染症の発生や自然災害などの緊急時対応がある

1.臨床現場から離れてしまう

公衆衛生医師になると、必然と臨床現場から離れてしまうことになります。
転職をした後に現場で働きたいと思っても、ブランクの期間次第では戻りづらかったり、戻った後に業務に慣れるまでに時間がかかったりしてしまいます。

今まで蓄積してきた医師としてのスキルが、ブランクの期間によって失われてしまう可能性がある点はデメリットの一つです。
公衆衛生医師を目指す前に、自分がどのようにして医療に携わりたいのかよく考えておくことが重要です。

2.募集枠が少ない

公衆衛生医師の募集枠の定員は、自治体ごとに1名〜数名程度であることが多いです。
そのため、公衆衛生医師になりたいと考えても、定員次第ではなれないかもしれません。臨床医と比べてなるのが難しい点も、公衆衛生医師のデメリットです。

希望している地域の公衆衛生医師の募集人数が少なく、なかなか就業が難しい場合は、別の地域で探すといいでしょう。
特にへき地であれば人手が不足している傾向にあるため、公衆衛生医師になりやすいかもしれません。

3.感染症の発生や自然災害などの緊急時対応がある

公衆衛生医師は感染症が流行した場合、疫学調査や二次感染予防指導など、通常よりも激務になる場合があります。自然災害が発生した際は、緊急で対応しなければいけないケースもあります。

勤務する地区によって業務内容は異なりますが、有事の際に稼働しなければいけない点はデメリットと言えるでしょう。高い責任感が求められる仕事です。

公衆衛生医師になるには?求められる条件や素質

公衆衛生医師は全国で統一された資格があるわけではありません。
募集する都道府県の試験に合格することで、公衆衛生医師としての採用が決まります。試験の際は、以下の能力がチェックされるケースが多いです。

  • 公衆衛生や医学に関する知識とセンス
  • 行政職員としての自覚と責任
  • コミュニケーション能力と危機管理能力

1.公衆衛生や医学に関する知識とセンス

臨床医としての知識だけではなく、公衆衛生医師になるためには、公衆衛生に関する知識が求められます。
公衆衛生に関する知識は時代やエリアによって異なるため、
健康課題を敏感に感じとるセンスが必要になります。

2.行政職員としての自覚と責任

公衆衛生医師は行政職員であるため、自覚と責任を持って働かなければいけません。
税金によって自分の給料が賄われているという認識を持ち、地域の人々に還元していく必要があります。

行政職員であるため、予算調整や議会対応、報道対応などの能力も求められます。
医学に関する知識が充実していれば、必ずしも公衆衛生医師になれるわけではありません。

3.コミュニケーション能力と危機管理能力

公衆衛生医師は地域のさまざまな機関や団体と連携して働く機会が多いです。そのため、地域の人々と円滑にコミュニケーションを取る能力は不可欠と言えます。

また、感染症や食中毒などが起こった際、速やかに対応できる危機管理能力も求められるスキルの一つです。

公衆衛生医師はこんな人におすすめ

公衆衛生は以下のような人におすすめの仕事です。

  • ワークライフバランスを大事にしたい人
  • 安定してキャリアアップを図りたい人
  • 他職種と連携しながら大きな仕事を成し遂げたい人

1.ワークライフバランスを大事にしたい人

臨床医は激務になるケースも少なくありません。残業が多く、悩んでいる方もいるでしょう。
公衆衛生医師は待遇や福利厚生が一般職の公務員と同じであるため、休暇制度を利用しやすく、ワークライフバランスを整えやすい点が特徴です。

勤務時間は臨床医と比べると少ない傾向で、プライベートの時間を確保したいと考えている方にはおすすめの仕事です。
新型コロナウイルスのような感染症や疫病が流行した場合を除き、当直やオンコールもありません。

医師という職業の中では、ワークライフバランスが充実している部類であるのは間違いありません。医療に関わりつつ、自分の時間も大切にしたい方におすすめの仕事です。

2.安定してキャリアアップを図りたい人

公衆衛生医師は公務員としての身分が保証されており、安定的にキャリアアップを図れる点がメリットです。
公衆衛生医師になった後のキャリアは人によって異なりますが、経験や年数に応じて徐々に上がっていくのが一般的です。

自分のキャリアを少しずつ積み上げていきたいと考えている方には、おすすめの仕事と言えるでしょう。
参照:公衆衛生医師 キャリアパスや待遇|厚生労働省

3.他職種と連携しながら大きな仕事を成し遂げたい人

先ほども述べたように、公衆衛生医師は地域の人々や企業と連携して業務に取り組む機会も多い仕事です。
他の職種と連携をしなければいけないケースもあります。他職種と連携を取りながら、大きな仕事を成し遂げたいと考えている方には、おすすめの仕事です。

他職種とも関わる中で、公衆衛生に関する仕組み作りや制度の確立など、自分だけでは難しい大きな仕事も成し遂げられるでしょう。
成し遂げられた際のやりがいも大きいため、仕事に充実感を求めている方にも向いている職業と言えます。

働き方に悩んだら医師専門の転職エージェント「メッドアイ」

公衆衛生医師は魅力的な仕事の一つです。
しかし、中には医師としての働き方に迷いが生じている方もいるでしょう。また、今の年収に満足していない方もいるかもしれません。そういった方は、
医師専門の転職エージェントである「メッドアイ」をぜひご利用ください。

メッドアイでは転職に関する無料相談を受け付けています。今の職場や、公衆衛生医師を辞めたいと考えている方は、無料相談だけでも利用してみてください。
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公衆衛生医師以外にも自分にあった働き方が見つかるかもしれません。ぜひ、メッドアイで新たな人生の一歩を踏み出してください。

まとめ(公衆衛生医師の年収はどれくらい?)

公衆衛生医師は臨床医と比べて、業務内容が大きく異なります。
行政職員であるため、安定しているというメリットがある一方で、高い責任能力が求められる側面もあります。
地域の方々に医療を届けたい、街全体を健康にしたいと考えているのであれば、公衆衛生医師はおすすめの仕事です。
しかし、公衆衛生医師としての働き方に悩んだ場合は一人で抱え込まず、ぜひ転職エージェント「メッドアイ」に相談してください。