「医局を辞めたら後悔するのでは?」そんな不安を抱えている医師の方も多いのではないでしょうか。
収入や自由な時間を求めて退局を考えている一方で、「やっぱり辞めなければよかった」と感じる声も少なくありません。
この記事では、医局を辞めて後悔した理由や、辞めて良かったと感じたケース、そして円満に退局するための注意点まで、医師専門の転職支援実績をもとに解説します。 あわせて読みたい
医局を辞めて後悔する理由7つ
医局には、最新の技術や情報が得やすいというメリットがあり、医師として成長できる環境が整っています。
しかし、入局後の給与は低めで、労働時間も適切に管理されずハードワークになりがちです。
医局を辞めるとハードワークから解放される一方で、恵まれた環境を手放すことで後悔することもあります。
ここでは、医局を辞めて後悔した理由を7つご紹介します。
- 転職に失敗した
- 退職時に医局と揉めた
- 臨床能力が下がった
- 資格を取得すれば良かった
- 出世の道から外れてしまった
- 寂しさを感じる
- 医局ならではの仕事に戻りたい
①転職に失敗した
医局を辞めることを重視しすぎて、転職に失敗してしまうことがあります。
せっかく環境をリセットできたのに、新しい環境が以前より悪かったり、自分に合っていないこともあるでしょう。
医師の転職は、情報収集を重ねて慎重を期する必要があります。
医局を辞める理由が転職で解消できなければ、医局で我慢していた方がよかったと後悔することになってしまいます。
医局を辞めたいと思っても、決して安易な転職をしてはいけません。 あわせて読みたい
キャリアプランを実現でき、なおかつ不満の解消を目指して転職先を探すことが大切です。
たくさんの選択肢から探すために、医師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。
②退職時に医局と揉めた
いくら現状に不満があっても、退職時に医局と揉めることは避けた方が無難です。
できるだけ円満に退職できるよう、可能な範囲で気遣いを怠らないようにしましょう。
医療業界は狭いので、悪い印象で退職をしてしまうと、転職先に伝わらないとも限りません。
退職時に揉めると後味も悪い上に、転職先に知られたら印象に影響します。
以下のポイントを押さえておくと、辞めた後に後悔を感じずにすみます。
- 退職の意思はできれば半年前ぐらいには伝える
- 理解が得られる退職理由を示す
- 医局の批判はせず、感謝の気持ちを持って去る
これまで医局に育ててもらったのは事実です。
「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちを持って円満退職を目指すことで、後悔するリスクを減らすことができるでしょう。
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③臨床能力が下がった
医師という職業は、常に最新の情報や技術を吸収し、アップデートしていかなくてはなりません。
医局にいると、新しい情報や難しい症例などの体験がしやすいというメリットがあります。
医局が辛くて転職したものの、以前と比べて最新情報に触れるのが難しくなったという後悔を持つ医師もいるのです。
もともと研修や技術習得のために医局に入職した場合、その目的が達成できたか辞める前に考えることをおすすめします。
もしまだ目標に到達していないなら、もう少し医局に残るかを十分に検討してみてください。
それでも、これ以上は難しいと感じるなら、医局で習得したかった知識や技術を修行できる環境の病院を見つけるしかありません。 あわせて読みたい
また、勉強会やセミナーを活用し、ほかの医師との交流を図ることで、情報収集の機会を積極的に作るのもいいでしょう。
④資格を取得すれば良かった
③と同様に、医局を辞めたことの後悔として、専門医資格を取得できなかったというものがあります。
専門医は転職でも有利で、開業を考えているのなら取得しておきたい資格です。
医局を離れて初めて資格やキャリアの重要性に気づくことで、後悔を感じてしまうのです。
キャリアプランによっては、専門医資格は必要ないという方もいるかもしれません。 あわせて読みたい
しかし、持っていることで確実に医師としての信頼は得やすくなります。
もしまだ資格を取得していない場合は、退職の決断をする前にキャリアプランを再検討した方がいいでしょう。
⑤出世の道から外れてしまった
医師としての目標が、研究者としての成功や、大学教授などの名誉職なら、医局を離れることでその道から外れてしまいます。
もともと出世の目標を持っていれば、医局を辞めたいという考えは起こりにくいかとは思います。
しかし、それでも医局勤めが肌に合わず辛いと感じるなら、目標を修正する必要があるかもしれません。
医局に留まっても、教授職まで上り詰めるのは一部の人だけです。 あわせて読みたい
現時点で医局にいるのがしんどいのであれば、目標に向かって進んでいけるか考え直してみてもいいのではないでしょうか。
後悔のない選択をするためには、人生設計まで含めた長期的なプランを見直してみるといいでしょう。
⑥寂しさを感じる
医局に所属していると、人間関係のしがらみがあります。
同期とのコミュニケーション、先輩や後輩との付き合い、上司との良好な関係など、気を使う相手がたくさんいるのが医局です。
理由はどうあれ医局を去ることで、こうした人間関係からは解放されます。
それを「ちょっと寂しい」と後悔する人もいるかもしれません。
しかし、転職先で新しい人間関係を良好に構築できれば解消するので、あまり気にしない方がいいでしょう。
また、医局を円満に辞めていれば、退職後も交流を続けることが可能です。
⑦医局ならではの仕事に戻りたい
研究や最先端の治療に携われるほか、難しい症例も経験できるなど、医局ならではの仕事はたくさんあります。
こうした仕事にやりがいや満足感を感じている場合は、医局を辞めたら後悔するでしょう。
医局を辞めても転職先で修行の続きができたという医師もいます。
しかし、転職先の研修環境によっては、元の医局で修行した方がよかったという後悔するパターンもあります。
退局前に現職場の優れている点を見つめ直し、同様の働き方が今後もできるのか考えながら転職先を探さなくてはなりません。 あわせて読みたい
また、別の医局へ移るという選択肢もあります。
所属医局を変える医師は意外と少なくありません。無理に転職して民間病院に行くよりは、後悔したり失敗と感じたりするリスクを減らせる方法と言えるでしょう。
医局を辞めて良かったという意見も
医局には、最新情報や難しい症例などの知見を得られる環境があります。
しかし、それを捨てて転職をする医師が一定数いるのも事実です。
医局を「辞めてよかった」と感じる医師もいます。
その理由は、主に以下の3つです。
- 収入が大幅に増えた
- 時間外労働が減り、自由な時間ができた
- 面倒な人間関係から解放された
- 医局人事による異動に縛られなくなった
ここからは、医局を辞めた医師が得られた3つのメリットをご紹介します。 あわせて読みたい
①収入が大幅に増えた
まずは収入面です。
医局員の給与は低く、年収は300〜600万円程度が一般的です。
しかし民間病院に勤務すると、年収は1,000万円〜1,800万円程度まで上げることが可能になります。
もちろん勤務体系やスキルによって変わってはきますが、医局を辞めて収入が下がるケースはほとんどないと言えます。 あわせて読みたい
医局での収入がネックであれば、転職を決意するのは有効な選択肢です。
②時間外労働が減り、自由な時間ができた
医局を去ることで、労働時間の改善も可能です。
医局勤めの場合、急患や緊急手術などの呼び出しに対応する必要があります。
また、収入を増やすため当直バイトもして長時間働いている人もいるでしょう。
民間病院であれば、雇用契約に基づいた就業時間のため、時間外労働はぐっと減ります。
病院によっては、人員不足で時間外労働や予定外の当直がある忙しい職場もありますが、医局と違って不意に呼び出されるようなケースは大幅に減らすことが可能です。
また、休日もきちんと取ることができます。 あわせて読みたい
労働時間が減れば、十分な休息や学習時間を得られるようになります。
③面倒な人間関係から解放された
医局は大きな組織で、人付き合いも大変です。
仕事や研修などで常に多数のメンバーと連携をとる必要があります。
また、出世を目指す人なら、上司への気遣いなども必要になってくるでしょう。
民間病院でも人間関係の構築は大事ですが、病院内で完結できるので、かなり楽になるはずです。 あわせて読みたい
普段からの人付き合いが大変、面倒臭いと感じている人は、小さなクリニックなどで働くことがおすすめです。
④医局人事の異動に縛られなくなった
医局人事による異動から解放されることも大きなメリットです。
医局に所属していると、自分の意思に関係なく異動を命じられることが多く、時に生活環境や家族に大きな負担を与えることもあります。
辞めた医師の中には、「異動を気にせず自分で将来を選べるようになった」「家族との生活を優先できる働き方ができた」と感じている人も多いでしょう。
医局を辞めると、勤務地や働き方を自分で調整できるケースがほとんどです。医局人事に振り回されることもなくなり、自由度の高い働き方を実現できる可能性が広がります。
医局を円満に辞めるための3つのポイント
ここまで、医局を辞めて感じるメリットや後悔をご紹介してきました。
メリットとデメリットを検討し、やはり医局を辞めて新しいステージを探す決意をしたら、大切なのは医局を円満に辞めることです。
医局を円満に辞めるには、主に3つのポイントがあります。
- 医療業界は狭いことを意識し、感謝を忘れずに
- 半年程度の余裕をもって退職意思を伝える
- 先に退局した医師の体験談を事前にリサーチ
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①医療業界は狭いことを意識し、感謝を忘れずに
前述しましたが、医療業界は意外と狭い世界です。
医局を円満に退職できていないと、転職先にも悪い評判が届いてしまう可能性があります。
たとえ不満があって辞める場合も、今まで育ててきてもらった恩はあるはずです。
感謝の気持ちを持って辞意を伝えましょう。
また、退職理由は、職場側も納得のいくものにしておきたいです。 あわせて読みたい
家庭の事情やキャリアアップのためなど、前向きな転職希望を伝えましょう。
たとえ「給料が安い」「残業が多い」などが本音でも、ネガティブな理由は話さないようにしてください。
②半年程度の余裕をもって退職意思を伝える
医局側は医師が辞めることで、人員補充が必要になります。
医局側の人員補充の時間が確保できるよう、できれば半年ほど前には辞意を伝えておきたいものです。
そして、退職の意思を伝えた後は、引き継ぎなどがスムーズにできるよう、自ら率先して行動しましょう。 あわせて読みたい
医局側としては、早めの退職申し入れがあることで、本人を慰留する方法なども考えてきます。
感謝の気持ちを持ちつつ「もう辞めると決めました」という意思を明確にしておき、そのための準備をきっちりと進めていきましょう。
③先に退局した医師の体験談を事前にリサーチ
退局の意思を伝えても、教授によって対応は異なります。
どうしても「人対人」ですので、半ば運任せだとも言えるでしょう。
心配な場合は、過去に退局した医師に当時の状況を聞いてみるのもおすすめです。
直接本人に連絡を取り、以下のようなことを教えてもらえると役に立ちます。
- 退局した理由や医局の不満点など
- 当時の教授や医局の反応
- 去り際に大変だったこと
円満に退局できた人に体験を聞ければ、参考になることがたくさんあるでしょう。
医局を辞めたことに後悔しないために
医局を辞めるという選択は、医師としての人生において大きな決断です。
実際に辞めて良かったと感じる人もいれば、辞めたことを後悔する人もいます。
重要なのは、「辞めたあとに何を得るか」「辞める前に何を見極めるか」を明確にしておくことです。
以下に、後悔しないための具体的なポイントを整理してご紹介します。
①「なぜ辞めたいのか」を言語化する
まずは、医局を辞めたいと感じている本当の理由を明確にしましょう。
「なんとなく疲れた」「人間関係が嫌だ」といった曖昧な理由のまま辞めると、転職先でも同じ壁にぶつかってしまう可能性があります。
- 労働時間が長すぎるのか
- 自分の希望するキャリアに進めないのか
- 収入が見合っていないのか
こうした要素を紙に書き出す・第三者に話してみるなどして、自分の気持ちを整理しましょう。
②キャリアの「目的地」を再確認する
医師として、どんな人生を送りたいのか?
医局にいることが、そのビジョンにどう影響するのか?を見つめ直すことが必要です。
例えば、
- 専門医資格を取りたいなら、あと数年は医局に残る選択もある
- 将来的に開業を考えているなら、個人クリニックで経営感覚を学ぶ方が近道
など、キャリアの目的地によって進むべき道は変わります。
「辞めたい」だけで判断せず、「その後どうしたいか」に焦点を当てて考えることで、後悔のない選択ができます。
③転職後の働き方・職場をリサーチし尽くす
「医局を辞める=すぐにハッピー」というわけではありません。
むしろ、新しい職場での働き方や人間関係が合わなければ、医局の方が良かったと感じるケースもあります。
後悔を防ぐためには、事前の情報収集が鍵になります。
- 求人票だけでなく、実際にその職場で働いている医師の声を聞く
- 雇用契約の詳細(時間外勤務、給与、当直の有無など)を確認する
- 職場見学・面談で雰囲気や人間関係を肌で感じる
転職エージェントなどを活用して、リアルな内部事情をしっかり把握しておきましょう。
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④「医局を辞める=終わり」ではない
医局を辞めたからといって、医師としてのキャリアが終わるわけではありません。
むしろ、医局に頼らず自分の力でキャリアを切り開いていけるという強みを得られる可能性もあります。
また、民間病院での経験を積んだ後に、別の大学医局へ再入局する医師もいます。
「今の医局を辞める=二度と戻れない」というわけではないため、選択肢はもっと柔軟に考えてよいのです。
⑤「感情」でなく「準備」で動く
最後に大事なのは、「感情」で突っ走るのではなく、しっかりと準備をして動くことです。
- 退職スケジュールはいつから逆算するか
- 何ヶ月後までに転職先を決めるか
- 誰にどのタイミングで辞意を伝えるか
こうした準備をしていれば、転職後もスムーズにスタートを切れます。
逆に、準備不足だと辞めてからトラブルが発生し、後悔につながりやすくなります。
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医局を辞めると決断したら、次に考えるべきは「自分にとって理想の働き方とは何か?」ということです。
退職理由が人によって違うように、転職先に求める条件も大きく異なります。
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まとめ(医局を辞めると後悔する?)
医局には、最先端の情報や知識が得やすいというメリットがあります。
常に研鑽が必要な医師にとって、恵まれている環境と言えるでしょう。
それでも、労働時間の長さや賃金の安さ、さらには人間関係の複雑さなど、辛いことも多い環境です。
しかし、医局を去ってから、恵まれた環境を手放したことを後悔する医師がいるのも事実です。
医局を辞める前に、キャリア形成への影響までしっかりと考えて決断する必要があります。
そして、転職を決意したら、今まで育ててもらった感謝を忘れずに、円満に退局することが重要です。
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