診療科ごとに性格の向き不向きや適性があります。では具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

  • 医師の診療科ごとに向いている性格や特徴を知りたい
  • 自分に合う診療科はどこか知りたい
  • 今の診療科に向いていないと思った時にどうすればよいか知りたい

このように思っている方に向けて、診療科ごとに向いている性格や特徴を解説します。
自分の希望している診療科が本当に自分に合っているのか不安に思う方、また、転科を検討している医師の方はぜひ参考にしてください。

医者に向いている人の5つの特徴

各診療科の違いを見る前に、まずは医師に向いている人の特徴を紹介します。

1.体力のある人

病院で働く医師は、通常の診療に加えて日当直やオンコールの対応、学会への参加や臨床研究など、やらなければならないことが山積みです。
不規則かつ長時間労働でありながら、自分自身の体調も整える必要があるため、体力は確実に必要です。
医師を目指す人は日頃から適度な運動を心がけて基礎体力の向上に取り組みましょう。

2.メンタルの強い人

医師は人の命を扱う職業であるため、感謝されることも多いですが、治療が難渋する場合や患者の希望通りにならない場合などは、クレームをつけられることもあります。
また、術後の副作用を「医師の腕が悪いせいだ」と難癖をつけられることもあるかもしれません。
しかし、
気持ちを強く保ち、医師としてのプライドを曲げずに自分を成長させる精神力が必要です。

3.集中力が高い人

医師は問診や聴診から得られる情報や、採血やエコーの結果などから病態を的確に把握して、治療方針を組み立てる必要があります。
1つでも見落としがあると、重大な医療事故につながるため、常に神経を研ぎ澄ませて診療にあたらなければなりません。
そのため、集中力が高い人は医師に向いている
と言えます。

また、外科手術では、10時間を超えるような術式がたくさんあります。
腫瘍を切り取ったり、縫合したり、人の体にメスを入れる時に要する集中力は並大抵ではありません。

4.コミュニケーション能力のある人

医師は、患者に病状をわかりやすく説明し、治療方針の候補を挙げて、患者の希望を聞きながら今後の流れを決めます。

医療知識がない患者にとって、さまざまな情報を一度に受け止めることは簡単ではありません。
医師に対して質問をしづらいと感じる患者も多いため、医師の方から患者の理解度を、その都度確認しながら話を進めていくことが大切です。

5.相手の気持ちに寄り添える人

病気によって、人の人生は激変してしまうかもしれません。患者の悲しみや苦しみに寄り添い、共感できる人こそ、医師に向いています

患者のバックグラウンドは十人十色なので、一方的に治療方針を決めつけるのではなく、本人の希望や職業柄避けたいこと、金銭的な面、サポートできる人はいるかなど、きめ細やかにヒアリングを行って、持続可能な治療を進めていくことが望ましいです。

【診療科別】向いている性格や特徴

診療科別で向いている性格や特徴を紹介します。

単純に好きな領域や興味がある分野だけで診療科を選んでしまうと、のちに後悔する可能性があります。
結婚や出産などライフステージが変わっても、やりがいを持って仕事を続けられるようなイメージを持って慎重に判断することが大切です。

1.内科系

総合内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、呼吸器内科、糖尿病代謝内科、神経内科などが該当します。
これらの診療科では投薬による治療がメインとなります。検査結果や病態により薬剤を変更したり、用量を増減したり、非常に細かい調整が必要です。

患者の訴えから、病気や薬剤の副作用を発見することが大切なので、どんな人とでも上手に話ができるコミュニケーション能力や、患者の想いを汲み取る洞察力が必要です。

慢性的に治療を継続することも多いため、患者とは長い付き合いになることも考えられます。
患者の性格やライフスタイルを理解し、個々に合った治療を進めていける人が内科系に向いているでしょう。

2.外科系

消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、脳神経外科、心臓血管外科などが該当します。
これらの外科系の診療科は
手先が器用で、長時間の手術に耐えられるだけの体力がある人が向いています
特に脳神経外科では高度な手技を要するため、熟練の技術が必要です。

手術をするにあたっては、医師以外にもさまざまな医療スタッフと協力する必要があるため、コミュニケーション能力も必要です。
医療チームのリーダーとして、的確な指示をわかりやすく伝達できるようなリーダーシップも欠かせません

3.整形外科・形成外科

整形外科は高齢者からスポーツを行う学生まで幅広い年齢の患者の診療に対応します。
骨や筋肉を扱う診療科であり、手術を行うにあたっては、細かさだけでなくある程度の腕力も必要です。
中にはスポーツドクターとして活躍する医師もいるため、
運動好きでいわゆる体育会系の人には向いている環境と言えるでしょう。

形成外科は、身体の欠損や変形などの異常に起因した病態を治療する診療科です。
眼瞼下垂や腫瘤の切除、壊死した身体の一部の切断など幅広い領域を取り扱います。
形成外科医は、
外科的な手技をコツコツ磨ける人、そして患者とコミュニケーションを密に取れる人が向いているでしょう

4.眼科

眼科は専門性が高く、1つのことを極めるスペシャリストを目指す医師に向いています。
患者数が多く、手術の回転数も早いため、テキパキと業務をこなせる人が向いているでしょう。眼科領域の手術は長時間に渡ることも少なく、腕力も必要ありませんが、
手術の手技が非常に細かいため高い集中力が必要です。

糖尿病網膜症や、帯状疱疹など、合併症による他科からのコンサルテーションも多い診療科であるため、迅速に診察を行って紹介元の医師に診察結果を返答する必要があります。
この場合もスピードが重要視されるため、フットワークが軽くサクサクと仕事をこなせる人は重宝されます。

また、メガネやコンタクトレンズの処方、レーシックやICLなどの保険適応外の治療にも携わることも多い診療科です。

5.耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科は耳、鼻、喉に起因する症状を扱う診療科で、高い専門性を要する領域です。
内科的治療、外科的治療のどちらも行いますが、
小児から高齢者まで幅広い層の患者がいるためコミュニケーション能力が求められます

花粉症の時期や季節性風邪が流行する時期は繁忙期になりますが、手術は短期入院のものが多いため、身体的な負担はさほど重くはないでしょう。

6.皮膚科

全身の皮膚に関わる領域の疾患を取り扱う専門性の高い診療科です。
免疫性疾患やアトピー、熱傷や褥瘡、皮膚腫瘍などの疾患を内科的に治療します。

抗生剤やステロイド、外用薬だけでなく、高価なモノクローナル抗体製剤を処方することが多いです。
腫瘍の小手術やデブリードマンは行いますが、外科的要素の強い治療においては形成外科と連携することも多くあります。
また、抗がん剤による皮膚の副作用で他科からコンサルテーションを受けるため、迅速な対応が求められます。

皮膚科は急変対応や残業が少ないため、ライフワークバランスが取れる診療科として特に女性からの人気が高い傾向にあります。
美容系に特化した皮膚科もあるため、
美容やアンチエイジングが好きな人、患者の肌悩みを一緒に解決していきたい、という人は向いているでしょう。


7.精神科

精神科が対応する疾患は、うつ病、気分障害、統合失調症、薬物またはアルコール依存症、認知症、発達障害など多岐に渡ります。
患者の訴えをくまなくヒアリングして、処方を組み立てなければならないため、
傾聴力や、忍耐力が必要です。

投薬による治療がメインであり、多くの薬剤を併用する可能性もあるため、薬物の薬効や副作用、相互作用などを把握しておく必要があります。
傾聴の姿勢が大切ですが、患者のメンタルに引っ張られないように常に冷静を保つこと、オンオフの切り替えをしっかりすることが大切です。

8.小児科

子供と接することが日常であるため、まず、「子供が好き」という人が向いています。赤ちゃんを上手にあやせたり、幼児と目線を合わせて温和に話したりできる人であれば、患者や患者家族ともコミュニケーションを良好に取れるでしょう。

基本的に子供は医者や病院の雰囲気を怖がったり嫌がったりするため、子供が安心して治療に専念できるような優しく頼れる先生であり続けるために、辛抱強さも必要な診療科と言えるでしょう。

9.産婦人科

産婦人科は産科と婦人科に分けられます。産科は24時間体制で出産時の対応をしなければならないため、当直帯でも忙しいことが多く、かなりハードワークとも言えます。
周産期の女性はナーバスになる人もいるため、不安な気持ちにならないように、
メンタルケアを意識しながら出産までサポートする優しさと信頼感が必要です。

婦人科は、更年期や不妊、望まない妊娠への対応など、デリケートな症状を扱うことが多いです。
治療の方向性を明確にして、伴走していけるような温かみのある性格の人は向いています
患者の質問には納得のいくように答え、前向きに治療に取り組んでもらえるような声かけやアドバイスができると、患者から頼りにされるでしょう。

10.救急科

救急科は24時間体制で患者の受け入れを行う診療科で、さまざまな症状に対して瞬時に診断をして何をすべきか考える判断力が必須です。
幅広い医学知識を持ち合わせ、緊急を要する処置にもすぐさま対応できるような柔軟性のある人が向いています。カンファレンスのスピードがとても早く、頭の回転が速い優秀な人材が多い診療科です。

救急対応は救急隊員や看護師、薬剤師などチームで働かなければならないため、チームが円滑に機能するようにコミュニケーション能力も必要です。
近年ではシフト制を上手に活用して、子育てと両立する女性医師も増えています。

今の職場や診療科が向いていないと感じたら

勤務先の病院で医師としての行き詰まりを感じてしまった場合にどうするべきか、対処法を解説します。

1.心身のケアをしっかりと行う

心も体も疲れていると、冷静に考えられないことが続いたり、マイナス思考になってしまったりするでしょう。
食事や睡眠時間はきちんととる、悩みがあれば周りに積極的に相談するなど、
まずは心身ともに体調をしっかりと整えることから始めましょう
医師免許があれば、いつからでもやり直しはできる、と自分に言い聞かせて心が壊れないようにメンタルコントロールをすることが大切です。

2.勉強してスキルを伸ばす

自分には難しい、苦手だと思うことがあれば、まずは苦手が克服できるようにさらに勉強をしましょう。
経験を重ねないとわからないこともあるため、
初めから自分には向いていないと捉えるのではなく、少しずつスキルを伸ばせるように前向きに考えることが大切です
日々、業務をしながら勉強することは大変ですが、重い扉を開く第一歩になると信じてがんばりましょう。

3.転職を検討する

仕事内容以外でも、人間関係や労働環境などが自分に合わない場合もあります。
プライドが高い上司、ダメ出しばかりする先輩、同期に追い越されていく感覚など、あまりにも辛い、自分には合わないと感じた時は
無理せず転職を検討するのもありでしょう。

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まとめ(医者は診療科別に向いている性格がある?)

医師に必要な要素は体力、メンタルの強さ、集中力、コミュニケーション能力、そして人の気持ちに寄り添える優しさや忍耐力です。
どの診療科に進んだとしても、この5つの要素は必要であるため、心に留めておきましょう。

外科系は体力が必要、精神科はメンタルの強さが必要、小児科は子供が好きであることが必要など、診療科ごとに適性があるので、自分の性格を振り返りながら診療科選びの参考にしてください。

診療科が合わないと感じた時は、一人で悩まずに周囲に相談して心身のケアをすることが大切です。場合によっては転職を視野に入れるのも良いでしょう。
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