2018年からスタートした新専門医制度で新たに登場した「専攻医」ですが、だいぶ耳にする機会が増えているのではないでしょうか。

「専攻医とは?だいたい何歳ぐらいが多い?」
「専攻医と新専門医制度とは?」
「専攻医になると副業ができる?」

今回の記事では、この新しい「専攻医」という立場について解説していきます。
これまでの後期研修医との違いや、専攻医のアルバイトについてもご紹介しますので参考にしてください。


専攻医とは? 後期研修医との違い

新専門医制度のもとでは、専門医研修プログラムに進んだ研修医を「専攻医」と呼ぶようになりました。
これまでの後期研修医との違いを見ていきます。

後期研修医から「専攻医」に名称変更

今までの研修医のプロセスとしては、国家試験に合格したのち、2年間の初期臨床研修を受け、その後に専門医としての研修を受ける医師を「後期研修医」と呼んでいました。
一方で初期臨床研修中の医師は「初期研修医」と呼ばれていて、初期研修医と後期研修医を一括りに「研修医」と表現していたことはご存知の方が多いと思います。

2018年から始まった新専門医制度では、この点を見直して、今までの後期研修医にあたる専門医過程の研修を受けている医師について「専攻医」と呼び名を改めました。
ここには、研修を受けることが主軸となる初期研修医とは違い、専門医研修期間に入った「専攻医」は、実務もこなしていることが背景にあります。
しかも、人手不足が言われて久しい現在では、こうした後期研修医が病院の重要な戦力になっていることも珍しくありません。
このことから、新専門医制度の導入に伴い、研修医ではない存在として「専攻医」という呼び名に変わったのです。

専攻医の年齢

専攻医は初期臨床研修を2年間こなした後に、3年以上の専門医研修プログラムを受けることになります。
このため、専攻医の年代的には26歳〜30代前半の方が多く占めているのが実情です。
しかしながら、転科などの理由で、現役医師が新たに専門医研修プログラムを受けることもあるため、30代後半以降の専攻医も存在することになります。
まとめると、全体的には若手と言われる年代層が多くなるものの、専攻医の年齢は一概に26歳〜30代前半だけとは言えないのが実情です。

専攻医の平均年収

専攻医の年収は、勤務先の病院がある地域や、専攻する診療科によっても変わってくるため、一概に言えないものです。
相場としては、年収で650万円程度から850万円程度と言われています。
医師数や病院数が多い都市部では平均年収は低めになる傾向があり、逆に医療過疎地と言われるような地域の場合は高めになるケースがあります。
また、専攻医はアルバイトをしていることも多く、副業の収入と合わせると、それなりに稼いでいる人も少なくありません。

専攻医の年収事情については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

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専攻医が知っておきたい「新専門医制度」と関連制度

「新専門医制度」では、専門医資格を得るまでのハードルが高くなるという現象が起こっていることが指摘されています。
ここからは、専攻医が専門医資格を取得するまでのプロセスを解説します。
また、「新専門医制度」で新たに登場した「シーリング制度」についても見ていきましょう。

専攻医が専門医資格を取得するには

専門医を目指すために必要なプロセスである「専攻医」は、専門医研修プログラムを受ける必要があります。
専攻医となり、専門医研修プログラムを受けて専門医となるまでの道筋は、以下のようになっています。

  1. 専門医研修プログラムを選び、プログラムに応募する
  2. プログラム実施病院での面接を受ける
  3. 合格通知を受ける
  4. 3年以上の研修プログラムを受ける
  5. 基準数の症例や論文をこなし、試験をクリアする

専門医研修プログラムに応募し合格することは、応募先の病院で働くことになるため、採用試験も兼ねています。

専門医の研修プログラムとは

専門医研修プログラムは、「基本領域」と「サブスペシャリティ領域」の2段階構成となっています。
基本領域では、従来の後期研修にあたる各診療科の専門知識を学ぶためのプログラムで構成されていて、内科や外科など、希望に合ったものを選びます。
サブスペシャリティ領域の研修を受けるためには、基本領域を終えている必要があり、かつ、基本領域に関連したプログラムしか受けることができません。

専攻医になったら、まず最初に受けられるのは「基本領域」の研修です。
基本領域には19のカテゴリがあり、そのうち一つを受講することができます。
また、専攻医となり基本領域研修を受けることが決まると、その研修先の病院に就職したという扱いとなります。
このため、研修をこなしながら、その病院での業務もこなしていかなければなりません。


シーリング制度の概要とは

新専門医制度の導入から少し遅れて2020年にスタートしたのが「シーリング制度」です。
そもそも新専門医制度では医師の質を担保するために、専門医認定の基準や要件を一元化したため、研修プログラムを実施できる病院が減少することになりました。
このため、人気がある地域や診療科に専攻医が集中する事象が起こり、もともと問題視されていた医師偏在が助長される恐れが出てきたのです。
このため、すでに医師数が必要なだけ確保できた都道府県や診療科に対し、専攻医採用数の上限を設けることになったのが「シーリング制度」です。

シーリング制度では、「連携プログラム枠」を設け、採用した専攻医の一部を採用地以外のシーリングがかかっていない地域で研修させなくてはなりません。
2021年時点では内科をはじめとした基本的な診療科がほとんどシーリングの対象となっているため、都市圏での研修プログラムを目指すことはかなりハードルの高い状況になっています。
また、都道府県単位で上限を設けてしまうと、医師偏在の解決には至らないという声もあり、議論を進めながら変更をかけていくことが予想されているのです。


専攻医はアルバイトができる? 知っておきたい3つのポイント

専攻医の年収は一概に言えないと前述しましたが、それでも独り立ちした専門医に比べればまだまだ低いことに変わりはありません。
しかし、専攻医は初期研修医とは違い、工夫と頑張り次第で収入を上げていくことが可能となります。
ここからは、専攻医が収入をアップさせるための方法や注意点をご紹介します。

専攻医は外勤(副業)が可能

専攻医は研修医と異なり、医師として病院に採用されている「労働者」となります。
このため、就業規則で禁じられていない限りは、本業以外にアルバイトや副業をすることが可能です。
他の病院や検診機関など、医療業界で働く場合、「外勤」と呼ばれることも多い医師のアルバイト。

そんな専攻医が選ぶアルバイトで多いのが、外来や当直業務です。
外来業務は、現在履修しているプログラムに関わる診療科で働くことで、臨床の治験を増やすこともできるため、収入以外にもメリットがあります。
また、学習時間を確保するために、実対応が少ないいわゆる「寝当直」と呼ばれる当直バイトを選ぶ専攻医も少なくありません。
こうした、収入とともに知見を積めるアルバイトを選ぶことで、自身のキャリアアップにつなげることができます。

副業したら確定申告が必要

専攻医が選ぶ研修先の中には就業規則で副業を禁じているところもあります。
しかし、そうした縛りがなければ、本業に差し支えない範囲でアルバイトをすることができるので、専攻医がアルバイトをすることは、かなりポピュラーと言えるでしょう。

医師のアルバイトは、他業種と比べると高収入となることがほとんどです。
このため、アルバイトをする専攻医が気をつけないといけないのが、確定申告です。
本業の給与所得以外で年間20万円以上の収入を得る人は、誰しも確定申告が必要になります。
そして、確定申告を怠ってしまうと、無申告による加算税や、所得税の延滞金がかかってしまうのです。

医師が年収20万円を超えるアルバイトをするのは簡単なことで、例えば1回の勤務で1万円もらえる当直や検診のアルバイトを月に2回すれば、年収24万円になります。
専攻医が収入を補うためにアルバイトをする場合、ほぼ確実に確定申告が必要だと考えたほうが賢明です。
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得額を、翌年の2月16日から3月15日までに申告しなくてはなりません。
必ず期日までに申告し、申告結果で追加納税が必要であれば納税まで済ませておきましょう。

専攻医が転職を検討する場合

専攻医として研修先の病院に勤務していても、年収や勤務のハードさによっては、体力や気力が保たないと感じる医師は一定数存在します。
選んだ専門医研修プログラムが自分に合っていない場合などもこのように感じてしまうことがあるでしょう。
そうした時には転職を考える人もいるかと思います。
専攻医が転職を希望した場合、転職先があるのかどうかは気になるところではないでしょうか。

実は専攻医は、医師としての戦力と数えられるので、転職先が見つからないと言うことはあまりないと言えます。
プログラムを取り直すにしろ、継続して受け続けるにしろ、職場環境を整え直してから改めて考えることも不可能ではありません。
専攻医が転職を考える場合、自分一人で悩むよりは、転職エージェントに相談することをおすすめします。
これから描いていきたいキャリアプランを丸ごと相談することで、転職で失敗するリスクを減らすことが可能になるのです。

専攻医はやっぱり忙しい? 気をつけておきたいこと

研修しながらも実務をこなす専攻医ですが、さらにアルバイトもこなすとなると、日々忙しい状態に陥るのではないでしょうか。
ここからは、忙しく過ごす専攻医が生活の中で気をつけたいポイントをまとめます。

専攻医はバイトや勉強で忙しい時期

専攻医が忙しいと言われる理由にはいくつかありますが、とにかく仕事と勉強を両立していかなければならないことに尽きるでしょう。

朝病院に出勤して、指導医と一緒に入院患者の回診や外来をこなし、手術や診療を見学したりサポートしたりと忙しく1日が過ぎていきます。
さらに、業務が終わった後もカンファレンスやカルテ作成などを行い、日によってはそのまま当直に入ることもあるでしょう。

専攻医は所属する病院の中ではいわゆる「新米扱い」となり、そのためか雑務も多くなりがちですし、当直回数が多いと言うケースも少なくありません。
そんな中で学んだことの復習や、収入を補うためのアルバイトをこなしていくとなると、忙しいのは当たり前とも言える状態が続きます。

アルバイトを詰め込みすぎないよう注意

専攻医の収入は、医師の年収と比較すると、決して多いとは言えません。
その一方で、医師のアルバイトは、一般業種と比べると給料が良いものがほとんどです。
収入が少ない専攻医が、その不足分を埋めるためにアルバイトをすることは常態化していますが、あまりアルバイトを詰め込みすぎるのは考えものです。
当たり前のことではありますが、アルバイトをする分だけ、自分の時間を削ることになります。

専攻医はただでさえ忙しいので、いくら収入のためとはいえ、休みの日にアルバイトを入れ過ぎてしまうと、本業に支障が出かねません。
医師という職業は、ちょっとしたミスが命取りになるシビアなものです。
アルバイトで余暇や睡眠時間を削って、本業の集中力を欠いてしまうような事態を招くことは、絶対にあってはならないことでもあるのです。

慣れてきた頃が危険? 心身に異常を感じた場合

特に昨今では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、専攻医を含む医療従事者は私生活の抑制や働き方の変化を感じている人も少なくないでしょう。
専攻医のアルバイトも同じくコロナ禍で減少していると言われていて、収入補填のために多少無理をしてでもアルバイトを探し、いくつか掛け持ちしている人も少なからずいるようです。
しかし、最初は刺激があり溌剌とこなせる忙しい日々も、慣れてきてしまうと慢性的な疲れとの戦いになります。

また、研修についても3年以上の長丁場になりますので、ある程度慣れてきた段階で、疲れを感じることがあるかもしれません。
自分一人で収入面も、医師としての研鑽も、日々の業務も、と、抱え込んでしまうことで、知らず知らずのうちに心身の異常を感じてしまう人も少なからずいるのです。
忙しさによる疲れや、毎日のハードな仕事についていけなかったり、どうも調子が変だと感じたら、早めに職場の上司や先輩、指導医などに相談するようにしましょう。

まとめ(専攻医の年齢について)

新専門医制度のもとで、後期研修医が「専攻医」とその呼び名を変えた背景には、後期研修医が研修先の病院で戦力として実務をこなしていることが挙げられます。
専門医の資格を取るためには、基本領域と呼ばれる各診療科の19領域から、自分の希望をもとにコースを選び、専門医研修プログラムを受けることになります。
専攻医はもともと後期研修医と呼ばれていたため、初期臨床研修を終えた若い世代が中心となります。
しかし、転科などで新たに専門医資格を取るため専攻医になる人もいるため、必ずしも若手だけで構成されている訳ではないとも言えるのです。

専攻医が研修先の病院での収入がおぼつかないと、アルバイトをせざるを得ない状況にもなりかねません。
アルバイトの詰め込み過ぎには気をつけなければなりませんが、実際にバイトをしている専攻医は非常に多く、もはや当たり前とも言えるでしょう。
収入アップや経験値を積むためにアルバイトを探すのであれば、転職エージェントに相談してみてください。
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